英語には「許して、忘れる(forgive and forget)」という言い方があります。最近の研究によると、この2つの行為は、どうやら本当に関わりの深いもののようです。
この研究はスコットランドのセント・アンドリュース大学(St Andrews University)で行われたもの。被験者には、40種類の仮定のシナリオを読んでもらいました。シナリオの中では、浮気や陰口、窃盗などの行為が描かれています。被験者が読み終わったところで「自分が被害者なら許せますか」と尋ねました。約2週間後にもう1度、同じようなことをしてもらったのですが、今度は情報を忘れるところまでが課題のうち。読んでもらうのは前回と同じシナリオです。ただし今回は、キーワードを緑または赤で示しておきました。読み終わった後で、キーワードが緑だったシナリオを記憶し、赤の方は忘れるよう伝えました。
その結果わかったのは、最初の実験で許せなかったシナリオのことは、2度目の実験で忘れなかったということです。それに対し、許して「水に流した」シナリオについては、2度目の実験で忘れることが多かったのです。
もちろんこれは小規模で人工的な実験の結果にすぎず、現実世界で人を許すのにも同じことが当てはまるかはわかりません。論文の主著者であるSaima Noreen氏は次のように説明します。
この研究はまだ実を結びつつある段階です。おそらく、許すことと忘れることは双方向的に関係していて、これより長い期間で見れば、もっと複雑に絡み合っていると考えられます。将来的には、忘れることと許すことに基づく(精神科の)治療を組み合わせた、新たな研究分野が生まれるかもしれません。そこから、うまく「許して、忘れる」ことができるような、効果的な治療ツールが開発されるかもしれないと期待しています。
人からされたイヤなことを忘れるのは容易ではありません。でも、忘れることには、思ったよりも深く、許すという行為が関係しているようです。何らかの被害を忘れてしまいたいなら、そろそろ許してみてはどうでしょうか。
Can Forgiveness Facilitate Forgetting? | Sage Journals via Science Daily
Patrick Allan(原文/訳:江藤千夏/ガリレオ)
Photo by Ana Blazic Pavlovic (Shutterstock).
http://news.goo.ne.jp/article/lifehacker/bizskills/healthcare/lifehacker_38736.html










