食事が満足に食べられない、学校に必要な物がそろえられない、そんな“子どもらしい生活を送れない”子どもたちが増えています。厚生労働省の発表によりますと、子どもの貧困率は15.7%、およそ6人に1人の子どもたちが、貧困の状態にあるといわれ、20年前の1.4倍になっています。
番組では、経済的に苦しい家庭で子どもたちが育つとどのような影響があるのか、その実態についてお伝えするとともに、地域の大人として私たちに何かできることがあるのか、ないのか、議論しました。
■子どもの貧困率とは
厚生労働省では、各世帯1人当たりの可処分所得の中央値の半分に満たない所得の世帯で暮らしている、17歳以下の子どもの割合、としています。しかし、生活の実態を調査しているわけではないので、該当する世帯がすべて貧困というわけではありません。
■見えにくい子どもの貧困
現代の日本では、外見などで貧困状態を見極めることが難しく、なかなか気づくことができません。番組では、あるシングルマザーのご家庭の子どもたちを取材させてもらいました。食料を支援団体から支援してもらったり、節約のために暖房をつけず寒さを我慢したり、スポーツクラブの用具を我慢している様子をお伝えしました。
専門家によると、家庭が経済的に厳しい状態にあると、子どもたちの健康が阻害されたり、学力が低下したり、豊かな経験が得られなかったり、親子関係に影響が出たりする恐れがあります。その結果、子どもたちの選択肢や希望が奪われ、孤立した状態に陥るリスクが高まるといいます。
■気づいても立ち入れない!
番組でアンケートをとったところ、回答をお寄せいただいた1,440人のうち、およそ2割の人が、「地域に家庭が経済的に厳しそうな子どもたちがいる」と回答、子どもたちが出すシグナルに気づいていました。しかし、気づいても簡単には立ち入れないと、多くの人が感じています。VTRでは、「貧困はお金がからむから立ち入りにくい」というご意見や、「親の手前、遠くから見守るしかない」というご意見をご紹介しました。
子どもの環境が厳しそうだと気づいて、行政に相談する窓口としては、各自治体の子ども家庭課など子どもに関する部署や、児童相談所、福祉事務所などがあります。
【立ち入れないワケ】
・行政の仕事でしょ?
・親の責任だ
・自分の子で精いっぱい
(あさイチ アンケートより)
■一歩踏み出した主婦のケース
豊島区の主婦が、当時中学3年生だった男の子の窮状に気づき、高校受験に向けて学習や食事をサポートしたエピソードをご紹介しました。エピソードからは、子どもには本来備わっている力が、貧困という状態によって阻害されていること、親も生活をなんとかしようと必死に働いている中で子どもの面倒をみることが追いつかなくなっている事情などが分かりました。
専門家の先生によると、いまの社会で起きている貧困は、低賃金労働、リストラ、DV、離婚、子育てをしながら働きにくい、心の病、などいくつもの要因が絡まった構造的な背景から起きていて、抜け出しにくい状態があるといいます。
■地域で家族を支える
豊島区の主婦が、上記のエピソードをきっかけに、地域で暮らす人たちみんなで子どもたちを支える取り組みをしていることをご紹介しました。「子どもの遊び場」、「無料学習支援」、「子ども食堂」、の3つの場所を設け、子どもたちが自由に参加できるとともに、地域の大人も気軽にボランティアに参加して子どもを支えられるようになっていました。
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NHK「あさイチ」2014年4月28日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/asaichi/life/asaichi-20140428-a-001.html