睡眠の重要性や、十分に睡眠を取る方法については、これまで何度も取り上げてきました。一般的に推奨される睡眠時間は7~8時間ですが、それより長く寝ているとどうなるのでしょうか? 最近の研究によるとどうやら、睡眠時間が長すぎることも、記憶力や思考力の低下と関係しているようです。
ハーバード大学では、女性看護師を対象とした大規模な疫学調査を長年継続しています。1万5000人を超える70歳以上の女性看護師を対象に、睡眠習慣を尋ねた1986年と2000年のアンケート結果を検討したものが、最近、学術誌「The Journal of the American Geriatrics Society」に掲載されました。研究グループではこれに加えて、被験者の看護師らの認知機能に関するテストを、2年おきに3回実施しています。
それによると、睡眠時間が非常に短い(1日5時間以下)被験者と、非常に長い(1日9時間以上)被験者のいずれもが、1日の睡眠時間が7~8時間の被験者に比べて、記憶力と思考力の成績が有意に劣るという結果が出ました。何よりショッキングなのは、睡眠時間の短い人も長い人も、7~8時間の睡眠時間の人に比べて、精神年齢で2歳老いていると試算されたことです。
加齢につれて睡眠時間が2時間以上増減するのは、ありがちなことです。ところがこの研究では、こうした人は、睡眠時間に変化のない人に比べて、認知能力が低下している可能性が指摘されています。
「Harvard Health Blog」ではこれらの理由について、睡眠時間が過度に長い人では、多くの場合、睡眠の質が低いため、記憶力や思考力に影響が及ぶのではないかと推測しています。
もちろん、相関関係があるからといって、因果関係があるとは限りません(これは、ほかの研究の場合も同じです)。また今回の研究は、特に高齢女性のみを対象としたものです。とはいえ、特に年齢を重ねるにつれて、睡眠の質を上げる努力が大切になってくることは、誰もが知っておくべきでしょう。
Too little sleep, and too much, affect memory|Harvard Health Blog
Melanie Pinola(原文/訳:風見隆、江藤千夏/ガリレオ)
Title image remixed from Olly(Shutterstock).
http://news.goo.ne.jp/article/lifehacker/bizskills/healthcare/lifehacker_38618.html