■そもそもゴキブリとは?
ゴキブリは、昆虫網ゴキブリ目に属します。「御器(食器)をかぶる(かじる)」ことから「御器被り(ごきかぶり)・御器噛り(ごきかじり)」と呼ばれるようになり、明治時代までは「ごきかぶり」から、「か」の字が抜け落ちたまま広まってしまったのが「ゴキブリ」という名称の直接の由来とされています。
ゴキブリが特に好きなものは、パン、ふかしたジャガイモ、米ぬか、バナナ、バター、食用油などですが、雑食性なので、例えば腐った植物、生ゴミ、動物の死骸、人間のつめ、髪の毛、排泄物なども食べます。どんなところでも歩くので人間にとっては不衛生で、病原体の媒介になってしまうわけです。
ゴキブリはもともと森に住んでいましたが、暖房設備が整い、適度な湿度が保たれて、食物が豊富な家に住むようになりました。
■「ゴキブリ喘息」って何?
ゴキブリが原因の喘息を「ゴキブリ喘息」といいます。アメリカの大都市では、ダニよりもゴキブリによる喘息が深刻な問題になっています。
特に子どもの喘息は注意する必要があり、ゴキブリに対する皮内反応で陽性になる子どもが36.8%で、ダニで陽性になる子どもの34.9%を上回っています。また、ホコリの中にはゴキブリアレルゲンが多量に含まれていて、ゴキブリで皮内反応が陽性になる人は、喘息で入院する可能性が高いとされています。
最近は血液検査でゴキブリに対するIgE(免疫グロブリンE)を見ることができます。「ゴキブリが多い環境である」「血液検査が陽性である」「環境を整備すると喘息がよくなった」という条件を満たせば、「ゴキブリ喘息」といえるでしょう。
ゴキブリはダニと同様、虫体と糞がアレルギーの原因になりますから、ゴキブリの駆除だけでなく、掃除も必要になります。
■日本でのゴキブリ喘息の状況は?
気管支喘息にかかっている日本の子どもを対象に、虫ごとでIgEを調べた報告では、コナヒョウヒダニは85.0%、チャバネゴキブリは9.9%、クロゴキブリは16.0%でした。その後の報告でも10~30%程度であるとされていますが、これから日本でも増えてくる可能性はあります。
■ゴキブリが居そうな場所をチェック!
それでは、どのようなゴキブリ対策をとればよいのでしょうか? まずはゴキブリが好む場所をチェックしましょう。
□1.狭いところ
ゴキブリには「接触走性」(圧迫を好む習性)があります。扁平で油ののった体をしているのは、狭いスペースに入りやすいためです。特に、表面のざらざらしたところが大好きですから、ステンレスやタイルより、食器棚の裏や棚と棚の隙間、壁の割れ目などに居ます。
□2.暗くて食べ物のあるところ
ゴキブリは食欲旺盛で、雑食で、夜行性です。昼間は姿を潜めていても、夜になると食べ物や水のそばに出てくることがあります。主に食べ物が入った戸棚の中、米びつ、ペットのエサ入れ、生ゴミ入れ、食器の水切り容器の水受け皿、流し台の排水溝などに現れます。
□3.暖かいところ
ゴキブリは18度~32度くらいの温度が大好きです。それより寒かったり、暑かったりすると、死んでしまいます。冬季は部屋の温度が下がっていると、ゴキブリは暖かい場所に隠れます。冷蔵庫の下や給湯器の裏、ガスレンジの奥に居たりします。
■今すぐにできるゴキブリ対策は?
□とにかく掃除が大切!
ゴキブリの餌を除くことが大切です。狭いスペースにあるホコリや食べ物のカスなどは、ゴキブリの格好の餌食に。とにかく隅々まで掃除しましょう。ゴキブリの糞も喘息の原因ですから、十分取り除く必要があります。
□ゴキブリを見かけたら、殺虫剤でやっつける
ゴキブリを発見したら、すみやかに駆除しましょう。殺虫剤にはスプレー式、煙霧式などさまざまな殺虫剤が売られています。見つけたゴキブリにはスプレー式が、隠れているゴキブリには煙霧式が効果的です。ただ、ゴキブリの卵には殺虫剤は効きません。卵が孵化する1カ月後に殺虫剤を使用するとゴキブリの量を減らせます。
□ゴキブリを増やさない対策も
ホウ酸団子のような毒エサは効果的です。ただ、ホウ酸団子は半年から1年で効果がなくなりますので、適宜交換が必要です。「ごきぶりホイホイ」のようなものを、ゴキブリが出てきそうなところに置いておき、実際に掛かった場合は、他にもゴキブリが居る可能性は高いので、煙型の殺虫剤で駆除しておくとよいでしょう。
文・清益 功浩(All About アレルギー)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140514-00000007-nallabout-hlth