「食物アレルギー」はまだそれほど一般的なものではありませんが(全米で5%程度)、特定の食品に過敏な症状を示す「食物不耐症」は多くの人に見られます。アレルギー専門医である原文筆者は、毎日のように食物不耐症の患者を診ています。その症状は、便秘、嚥下困難、胸焼け、膨満感、そして頭痛などです。「自分もそうかもしれない」と思った人が、原因となっている食品を見極めるには、どうすれば良いでしょうか?
原文筆者は食物アレルギーや食物不耐症に悩む多くの患者に対し、症状に応じて1週間から1カ月間程度の食事制限に取り組むよう勧めています。このプランを実行した患者の多くは、減量効果だけでなく、更年期障害や月経前症候群(PMS)の改善、胃酸逆流の減少、元気の回復、睡眠の質の向上、血色が良くなるなど、さまざまな効果がみられました。こうした目覚ましい効果に、最初は原文筆者も驚いたそうです。
このように有益な副次的効果が得られた多くの患者を目の当たりにし、原文筆者も自ら体験してみることにしました。実践開始から1カ月後には、今回制限した食品の中のいくつかを、もう一生食べないことに決めました。そのくらい劇的に体調が良くなったのです。ただし注意していただきたいのは、食物アレルギーと食物不耐症はまったくの別物だということです。
食物アレルギーと食物不耐症
食物アレルギーは飲食直後に起きる免疫反応を指し、通常、のどの圧迫感、じんましん、場合によってはアナフィラキシーなどの症状が現れます。ほんの微量であっても、致命的なアレルギー反応を引き起こす可能性があります。もし食物アレルギーの疑いがあるのなら、必ず医師に相談してください。自己診断は危険です。
これに対し、食物不耐症では通常、飲食後しばらくしてから反応が出ます。これは腸のトラブルなどのさまざまな症状を引き起こすものです。現在この分野では、免疫システムやその他のメカニズムについて多くの研究が行われていて、食物によって引き起こされるさまざまな状態が、今も続々と見つかっています。簡単に言うと、食物不耐症には、頭痛から膨満感まで、ありとあらゆる症状を引き起こす可能性があるのです。
自分が食物不耐症なのか、だとしたらどの食品がダメなのかを見極めるために、原文筆者は8ステップの食事制限プランを考案しました。ひとりで実施できるうえに、非常に信頼度の高い判断基準となります。高価な血液検査よりもお勧めできます。なぜなら、食物不耐性の有無を判断する血液検査は米食品医薬品局(FDA)の認可を受けていませんし、さまざまなタイプの血液検査について研究が進められているものの、まだ議論の余地のある段階だからです。
なお、以下に挙げた食品群は多くの人にとって症状が出やすいものなので、FDAはすべての食品メーカーに対し、これらの食品群の含有について、ラベルに表示するよう求めています(ただし、トウモロコシと各種添加物は対象外です)。そのためラベルをよく読めば、ごく少量含まれているだけの原材料でも確認が可能です。
どの食品が自分にとってダメなのか、確認する手順は以下の通りです。
乳製品、小麦、大豆、および卵を2ないし3週間摂取しないようにします。ヨーグルト、チーズ、乳清、原料に卵が使われている加工食品などは、すべて制限の対象です。
上記の食品を一度に1種類ずつ、3日間の間隔を空けて摂取してみます。
次に、ピーナッツ、甲殻類、トウモロコシを2ないし3週間摂取しないようにします。繰り返しますが、ラベルを良く読み、レストランでは店員に聞くなどして、原材料を忘れずに確認しましょう。
上記の食品を一度に1種類ずつ、3日間の間隔を空けて摂取してみます。
ピーナッツ以外のナッツ類(アーモンド、クルミ、カシューナッツなど)とすべての魚類を、2ないし3週間摂取しないようにします。
上記の食品を一度に1種類ずつ、3日間の間隔を空けて摂取してみます。
さまざまな食品添加物を含むすべての食品や飲料を、1週間摂取しないようにします。グルタミン酸ナトリウム(MSG)、人工甘味料、合成着色料などが制限対象です。炭酸飲料、ほとんどのアルコール飲料、スナックなどを避けることになるため、一番ハードルが高いステップですが、たったの1週間ですから頑張りましょう。
(お望みなら)それぞれの添加物を含む食品および飲料を一度に1種類ずつ、3日間の間隔を空けて摂取してみます。
これだけです。膨満感や関節痛、むくみ、ブレインフォグ(脳に霧がかかったようなボーッとした状態)、便秘といった症状を引き起こしている食品がわかったら、それを今後は一切食べないようにします。
この食事制限プランの背景にあるのは、一部の食品が胃腸や関節の炎症を引き起こすという理論です。合わない食品のある人は、一度摂取をやめたのちにまた口にすると、治まっていた症状がぶり返すことに気づくでしょう。普段よりもひどい症状が出ることもあります。
原文筆者の経験では、症状の変化を感じられるようになるまでには、おおむね少なくとも2週間は要します。上記のプランで、1つの食品群につき、摂取しない期間を2ないし3週間設けたのはそのためです。実は、摂取を控えた期間が長ければ長いほど、より正確な結果が得られます。ただし、食品添加物や保存料については、通常、それほど時間をかけなくても変化が現れます。
命に関わるようなアレルギーの疑いがある人や、食事制限をやってみたけれどよくわからなかったという人は、資格を持ったアレルギー専門医へすぐに相談してください。でも、ちょっとした体調不良ならば、引き金となっている食品を自分で特定できれば、身体がずっとラクになるはずです。
Amy Shah MD(原文/訳:風見隆/ガリレオ)
http://news.goo.ne.jp/article/lifehacker/bizskills/healthcare/lifehacker_38122.html