玄米を精米する際に出る「米ぬか」を通信販売する農家や米穀店が増えている。一般的な用途は、ぬか漬けの床や家庭菜園の肥料、洗顔用のぬか袋だが、栄養価の高さから食用にも注目されている。福井県鯖江市の米農家「もうえもん」では揚げ物やあえ物、菓子などにも取り入れた。(寺田理恵)
◆「アレルギーが改善」
米ぬかは、玄米を精米するときに取り除かれる種皮や果皮などが粉になったもの。玄米にはビタミンB1やミネラル、食物繊維などが精白米より多く含まれる。米ぬかを白いご飯と一緒に摂取すれば玄米食と同様の効果が期待できるとされ、ふりかけなどにして食べられている。
「米ぬかというと、ぬか漬けを思い浮かべる人が多く、『臭くないですか』と言われますが、生の米ぬかを煎ると香ばしさとうま味が出ます。うちの米ぬかはうま味成分が多く、調味料のように使っています」
こう話すのは、「もうえもん」の上坂起美好(きみよ)さん(41)だ。減農薬・無化学肥料栽培の米のほか、生の米ぬかを煎って保存しやすくした「焙煎(ばいせん)米ぬか」も販売している。
約10年前、通販で米を買った客から「胃が弱いから白米を食べている。残留農薬の心配のない米ぬかを食べたいので分けてほしい」と要望を受けたのが販売のきっかけとなった。
以来、上坂さんは「もうえもん」の主である母とともに焙煎米ぬかを使った料理を考案し、家族で食べてきた。長男(10)のアレルギー体質が改善されたり、自身もおなかの調子が良くなったりなどの効果があったという。
◆ふりかけが簡単
3月に出版された料理本『米農家「もうえもん」母娘の米ぬかレシピ』(小学館)では、「子供たちがおいしく食べられるように」と工夫を重ねたレシピを紹介した。
空揚げやフライの衣に混ぜて香ばしさを高めたり、サラダに入れてうま味や甘味を利かせたりと多様な料理に活用している。
料理に使うコツを「簡単なのはふりかけ。香ばしいものと相性が良く、ゴマあえやピーナツあえに入れると香りが引き立ち、揚げ物に使うと香ばしさが増します」と話している。
■品種によって味や食感に違い
東京都北区の米穀店「篠原ライス」は米問屋を通さず、全国各地の農家から直接、玄米を仕入れている。
店頭には有機栽培や減農薬の「コシヒカリ」「つや姫」、無農薬の「にこまる」など多種類の玄米がずらりと並ぶ。店頭で精米したときに出る米ぬかは商品購入者に無料で提供する。
「米ぬかは甘味の強いものや、少し苦みのあるもの、とろっとしたものなど、米によって味や食感に違いがあります」と同店の篠原秀久さん(36)。
玄米や米ぬかの残留農薬を心配する人はいるが、篠原さんは「米ぬかを食べてみると、農薬の殺虫剤を使っていないことが分かります」と話す。
食べられる米ぬかは食用以外にも安心して使える。洗顔や掃除など多様な用途があり、床磨きのワックスとして使う保育園もある。家庭菜園の肥料に使っている客からは「ミミズがたくさん出る」との反響があった。春は旬のタケノコのあく抜きに使う客が多いという。
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