[ カテゴリー:生活, 社会 ]

楽しみながら運動習慣をつける! 錯覚の心理学とは

「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道」と言ったのはメジャーリーガー・イチロー選手。習慣の大切さを感じさせる言葉ですよね。彼は毎日を同じように過ごし、同じものを食べ、一日一日の微妙な違いを身体で感じていたとのこと。

そこまで、ストイックにできるのはトップアスリートだからこそというのもありますが、私たち一般人にとっても運動を習慣づけることができると、今度は「運動せずにはいられない」状態になるはずです。運動を習慣づけたいと考えるのであれば、難しいものや時間がかかるもの、準備が大変なものなどを避け、「気軽に・思い立ったら・短時間で」できる運動を選択することが大切です。

□具体的なものを挙げてみましょう

・通勤・通学時の徒歩、自転車などの距離を伸ばす(一駅分歩く、エスカレーターではなく階段を使うなど)
・朝ご飯前に必ず散歩をする(5分から10分程度でもOK)
・テレビ番組を見ているとき、CM時間に腹筋運動をする(時間が限られている)
・寝る前の5分間に必ずストレッチを行う(お風呂上がりだとなおGood!)
・一日10回、20回と回数を決めてスクワット運動を行う

ポイントは「すぐにできる」「心理的負担をかけない」「普段の生活に組み込んでしまう」こと。食事や睡眠といった毎日必ず行うことに付随して、運動習慣を取り入れるようにしましょう。毎日実践できたら自分のためにごほうびなどを準備すると、さらにやる気も高まります。

■雪だるま方式で「好きになる」

『なぜ、それを好きになるのか? 脳をその気にさせる錯覚の心理学』(角川SSC新書)という書籍によると、何度も接触したり、何回も繰り返したりすることによって脳の処理能力はより早くなり、スムーズになるのですが、こうしたことの理由付けとして「スムーズにできる=これは私が好きだからだ」という間違った解釈をしてしまうといった事例が紹介されていました。

単純なものを繰り返すことで簡単にできるようになると、「得意である=好き」というふうに誤解しやすいとのこと。脳を勘違いさせたまましばらく運動を続けていると、「本当はこの運動が好きなのかもしれない……」と行動の理由を後付けしてしまうようになります。こうなってくると「運動が好き」という勘違いの状態を作り出しますので、その後運動を続けずにはいられないようになるのです。単純な話ですが、ちょっと驚きですよね。

■簡単なものからレベルの高いものへの挑戦

単純でクリアしやすいレベルの運動に慣れることで、私たちは運動に対して好意的になりますが、このまま単純な運動を繰り返していては、運動効果は頭打ちになってしまいます。トレーニングでは「過負荷の法則」といって、同じ強度の運動を繰り返していると、その運動強度に身体が慣れてしまい、トレーニング効果が薄くなってしまうと言われているからです。ここからさらに運動効果を上げるには、少しずつ強度の高いものにもチャレンジしていきたいところ。時間や距離、回数などを増やす、難しめの運動に変えてみる、頻度を多くしてみるといったことを実践すると、運動強度を上げることが可能です。

先の書籍では「単純で簡単なもの」に好意を示すと、そこから難しい課題に移ってもそれを克服しようと努力することが書かれていました。最初から難しいものにチャレンジすると失敗する確率が高く、メンタル的にも「やっぱりできない」と否定的にとらえてしまいがちです。ところが最初に簡単なものをクリアして、その後に少し難易度の高いものに挑戦すると、何とかクリアしようと努力するとのこと。運動だけではなく勉強などでも応用できそうですよね。

こうした脳の仕組みを理解した上で、小さなことから始めてみる、単純なものから複雑なものへと移行する、より難しい課題に取り組むことを取り入れてみてはいかがでしょうか。意外と簡単に運動習慣がつけられるかもしれませんよ!

文・西村 典子(All About 運動と健康)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140418-00000006-nallabout-hlth

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