発達障害では困っている行動や症状に合わせた環境作り・治療が大切。社会生活上の困難を減らし、子ども・家庭をサポートする療育、行動・症状によっては薬の治療を考える。
1.行動や症状に合った治療
“発達障害は個性のようなものだから治療の必要はないのでは”と考える人もいます。しかし、発達障害は周囲の人の「理解」「配慮」「支援」が必要な個性です。医学的に治すための治療ではなく、できなかったことを少しずつできるようにすることを目的とした、困難を軽減していくための治療が必要です。
なかでも重要なのが、症状をもっていても過ごしやすい環境づくりです。また、必要に応じて、社会生活をうまく送れるようにサポートする療育が行われることもあります。症状によっては薬物療法を行うこともあります。どのような治療が必要かは、それぞれの子どもに応じて考えていく必要があります。
2.療育とは
「話す」「理解する」「人とつきあう」などの能力について、必要に応じて訓練などを行い、社会生活をスムーズに送れるようにするために本人や家族をサポートするのが療育です。医師、心理士、そのほかの専門スタッフが、子どもの困難を減らすサポートをしたり、家庭、学校、地域のつながりをつくり、全体で子どもをサポートする環境づくりを担います。療育は、日本全国の地方自治体にある児童発達支援センターなどの専門機関を中心に行われています。重要な治療の1つですが、療育を行えばすぐに問題がなくなるというわけではありません。焦らずに長い目で見守っていくことが大切です。
3.発達障害の薬物療法
薬物療法は、「興奮しやすい」「抑うつ気分がある」など気持ちに問題がある場合、「落ち着きがない」「自分や他人を傷つける」など行動の症状がある場合、「不眠」「頭痛」「感覚過敏」など体の症状がある場合に、それらを軽減することを目的に行われます。現在、日本で使われている薬は、メチルフェニデート徐放剤とアトモキセチンの2種類です。これらは脳の中で情報を伝える神経伝達物質が、より適切に作用するように調整する働きをし、「集中力が増す」「多動や衝動性を抑える」といった作用があります。副作用としては「食欲不振」「不眠」「体重減少」がありますが、重篤な副作用は報告されていません。効果が認められればしばらく服用を続けます。ただし、多くの場合、子どもの成長に伴い薬は不要になります。
NHK「きょうの健康」2014年3月26日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140326-h-001.html