和食に欠かせない「みそ汁」。でも、街で聞くと「今ひとつ味が決まらない」「具がマンネリ」「塩分が気になる」など、さまざまなお悩みがあるようです。そこで、今回もスゴ技を持つ達人が登場!「“粉がつお”を“あるタイミング”で加えて、家庭のみそ汁を日本料理店の本格みそ汁の味にワンランクアップさせる技」、「“ある法則”で、朝と夜のみそ汁の具とみそを選ぶことで、健康な体作りに役立てる技」、女優の佐藤江梨子さんが、ダイエットと冷え性改善のためにと、毎日のみそ汁に加えるトッピングの技、そして、江戸時代の知恵に学ぶ「おいしいだしのとり方」など、日々のみそ汁をパワーアップさせる技を紹介しました。
■江戸時代に学ぶ だし達人への道
国立劇場の中にあるレストランでは、歌舞伎の演目にあわせて、18年前から江戸時代の料理を再現した弁当を出しています。
3月は、「處女翫浮名横櫛(むすめごのみうきなのよこぐし)-切られお富-」の舞台、駿河國(するがのくに)(現在の静岡県)にちなんで、特産で旬の鯛(たい)を弁当とみそ汁に取り入れました。
弁当を監修しているのは、江戸時代の料理書を40年にわたり研究している松下幸子さんです。今回の弁当のみそ汁は、江戸時代初期の「料理塩梅(あんばい)集」をもとに再現しました。
料理塩梅集のみそ汁の項には、今に通じる、みそ汁をおいしくするためのコツがたくさん書かれています。たとえば、赤みそや白みそを合わせて使うこと、香りづけにさんしょうの粉を使うこと、そして、だしを上手にとる方法などが書かれています。
中でも、松下幸子さんが興味深く思っているのが、「だし袋」を使っていること。料理塩梅集には、「だし袋のよさは、うまみが足りないときは入れたままし、十分だしが出たらすぐに取り出せること」とあります。さらに、だし袋に入れるかつお節の量の目安まで示されています。それは、袋いっぱいに入れないこと。「袋の中がゆったりとしていると、だしがよく出る」とあります。
そこで、静岡県焼津(やいづ)市のかつお節製造会社で、かつお節の量を一定にし、入れるといっぱいになる小さな袋と、半分ぐらいになる大きな袋に詰め、同量の湯で1分間煮出して、うまみの濃度がどれだけ異なるか、実験しました。その結果、大きい袋のほうが1.6倍以上のだしが出ていることがわかりました。
開発室の神尾尚子さんによると、袋の中に少なめに入っていると、湯の対流がだし袋の中で起こり、かつお節が動いて、よくだしが出るためと考えられます。
<取材協力>
木本幸克さん(国立劇場「十八番」総料理長)
松下幸子さん(千葉大学 名誉教授)
著書:「江戸の献立」(新潮社)、「江戸料理読本」(筑摩書房)ほか
神尾尚子さん(株式会社新丸正 開発室)
江戸時代の台所を再現した民家
世田谷区 次大夫堀公園
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NHK「あさイチ」2014年3月12日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/asaichi/life/asaichi-20140312-a-003.html