20代~30代の若い女性に増えていると言われる子宮頸がん。
最近は子宮頸がんワクチンなどがメディアで取り上げられるようになり、話題となっていますが、名前を聞いたことがあっても、どんな病気かを詳しく知ってる人は少ないのではないでしょうか?
ここでは、子宮頸がんとはどの様な病気か、その原因となるウイルスについてご紹介します。
子宮頸がんとは、子宮の頚部にできるがんです。子宮は、膣側の1/3くらいを子宮頚部とよびます。奥側の2/3くらい、妊娠すると大きくなる部分を子宮体部とよびます。
子宮頸がんになる大きな原因として、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染があります。パピローマウイルスは接触感染により皮膚や粘膜から感染します。HPVはありふれたウイルスであり、誰でももっている可能性があるので、感染自体の予防はかなり困難です。
しかし、HPVに感染したら必ずしも子宮頸がんになるわけではありません。ほとんどの場合、感染しても免疫力によって体から自然に消滅します。しかし、体質によってはなかなかウイルスを体の外に追い出すことができないことがあります(これを持続感染といいます)。
子宮頸がんの原因にはHPVへの感染が大きなウエイトを占めますが、これは一般的には性行為によって感染します。
しかしHPVに感染しただけでは何も症状がなく、一度感染しても充分な免疫機能が働くと、HPVはなくなりますが、ときに持続感染がおこり、子宮頸部の表面を覆っている組織に変化がおこることがあります。
これが異形成と呼ばれる状態ですが、多くの場合はこのままの状態で何年も経過しますが、異形成が進むと、がん化します。
HPVは、誰でももっている可能性があり、男性も女性も共に感染します。
ヒトパピローマウイルス(HPV)は100種類以上のタイプがあり、皮膚や粘膜に感染するウイルスです。このうちの約15種類は子宮頸がんの原因となることが多いと言われています。
また、HPVの種類も様々であり、がん化の危険性の高い種類のHPVのウイルスに持続感染した場合、がん化のリスクが高まります。
HPVにはハイリスク型とローリスク型があり、子宮頸がんを引き起こすのは発がん性HPVといわれるハイリスク型と言われています。
女性同様、男性がHPVに感染しても特に自覚症状はみられません。
通常であれば、HPVに感染しても、体内の免疫力で自然になくなります。しかし高リスク型HPVに持続感染すると、陰茎がん、肛門がんを引き起こすことがあります。
低リスク型HPVは尖圭コンジローマを発症する場合もあります。
子宮頸がんは、HPVに感染してから5~数10年かけてがん化します。人によってこの年数は変わりますが、日本では30歳代~40歳代に多くみられます。
しかしここ最近、性交年齢の若年化などから、20歳代で子宮頸がんが見つかるケースも増えています。
仮に性交の相手が一人でも、その人がハイリスク型のHPVを持っていれば、子宮頸がんになる可能性は高くなりますので、注意が必要です。
また性感染症にかかっているとHPVへも感染しやすくなり、膣や子宮頸部が傷ついている場合も、がん化しやすくなるといえるでしょう。
日本には、子宮頸がんの人はおよそ10,000人以上おり、年間でおよそ4,000人が亡くなっています。統計上の子宮頸がん患者数は増えており、2020年にはおよそ20,000人になると推測されたデータもあります。
日本でも子宮体がんよりも子宮頸がんの方が圧倒的に多い時代がありました。しかし現在では、食生活の欧米化や、分娩回数の減少により、子宮体がんが増えているようです。
HPVの子宮頸部への感染を予防することが、子宮頸がんの予防となります。一般的に、性感染症の予防にはコンドームが推奨されていますが、HPVは、皮膚や粘膜に広く分布しているため、コンドームによっても完全に予防することはできません。
したがって、子宮がん検診をきちんと受ける、予防注射を接種する、などで発症の危険性をへらすことができます。