[ カテゴリー:生活, 食育 ]

熱狂!ヨーグルトバブル「次々と立証される健康効果」【2】

ここ数年、冬になるとスーパーのヨーグルトコーナーから商品が消える騒ぎとなっている。沸騰し続けるブームの裏側に迫った。

※第1回はこちら(http://president.jp/articles/-/12085)

メーカーは商品の効能については寡黙だが、各社が手塩にかけて育てている乳酸菌の話になるとがぜん、饒舌になる。

明治では「約4000種類の乳酸菌を保有し、10年単位の長い時間をかけて研究している」と、明治ヨーグルトマーケティング部マーケティング2グループ長の岩崎晃氏は言う。

「そしてこの乳酸菌はいけそうだというメドがついたところで本格的な研究がスタートします。研究していくうちに治験がたまり、商品化の方向性が見えてくる。そしてエビデンスがとれた時点で発売を決めるのです」

10年3月から全国発売された「R-1」の基礎的な研究は1970年代までさかのぼるという。

雪印メグミルクの「ガセリ菌SP株」の売りは、生きて腸に届き長くとどまることが科学的に確認された世界初の乳酸菌であること。それもビフィズス菌が住む大腸ではなく、食物を消化して栄養を吸収する小腸に長くとどまる。同社の研究によればガセリ菌SP株を摂取した7人のうち、90日が経過しても、4人の便からガセリ菌SP株が検出されたという。

「普通は長いもので1週間程度しかとどまりませんが、私たちは生きて届いて定着する菌にこだわって研究してきたので、腸との親和性のよい菌を発見することができました」と雪印メグミルク研究開発部課長の村上達也氏。

乳酸菌は死菌でも効果が期待できるが、生きた菌、それも長くとどまる菌のほうがより効果が期待できるというのが同社の考え方である。

一方、森永乳業の「ラクトフェリンヨーグルト」に使用されているラクトフェリンは乳酸菌ではなく、人や哺乳動物の母乳に含まれるたんぱく質である。特に出産直後の初乳に多く含まれ、赤ん坊をさまざまな感染症から守ると考えられている。同社は粉ミルクを製造していたことから、いち早くラクトフェリンの持つ菌やウイルスへの抵抗力に着目し、1960年代から研究を重ねてきた。

研究の結果、ノロウイルスを予防する働きを発見。ノロウイルスは腸の表面の細胞に入り込み、水分や塩分を調節する機能を破壊するが、ラクトフェリンを摂取すると、これが腸の表面に張り付いて、細胞をノロウイルスからガードする。さらに胃の中で変化してできる「ラクトフェリシン」という物質がノロウイルスにくっついて、腸の表面の細胞への侵入を阻害するという2つの働きが認められたのである。

多くのメーカーが長い年月をかけた研究の成果が結実し、ここ数年で機能性ヨーグルトの数は一気に増大した。

機能性ヨーグルトの競争は激化するばかりだが、「それを歓迎しています」と言うのは、森永乳業ヨーグルトマーケティンググループ長の齋藤千文氏。

「各社とも乳酸菌やラクトフェリンの研究に注力していますが、その競争は価格競争とは違って市場を盛り上げる方向へ働くはず。競争に呑み込まれないように、当社が保有する素材をどうプロモートして一歩抜け出るかということを常に考えています」

その言葉通り、機能性ヨーグルトは小売店で安売りされることがほとんどない。にもかかわらず、値段に敏感な主婦が、安売りされていないひとつの商品を大量にかごに入れている姿がよく見られる。機能性ヨーグルトを買う消費者は、価格よりもその“機能”で商品を選び、「指名買い」をしているのだ。今後もしばらくは、各社共存共栄の状況が続くであろう。

機能性ヨーグルトに牽引されたように、従来のヨーグルトの消費量も増えている。森永乳業の調査によれば、2012年から1年間でヨーグルトを「食べる量が増えた」と答えた人が31%。うち86%の人がその原因を「食べる頻度が増えた」ためと答えた。消費者はこれまでのように、デザートとして食べているだけではないようだ。メーカーも、ヨーグルトを料理に使ったり、チーズのように酒のつまみにしたりと、食べ方の工夫や食べるシーンの提案に力を入れている。そうして従来のヨーグルトの消費量も上がっていけば、ヨーグルト市場はまだまだ拡大していくに違いない。

http://news.goo.ne.jp/article/president/bizskills/healthcare/president_12086.html

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