家族の介護は長期に及ぶため、介護する人の多くが高血圧、抑うつ、腰痛など健康上の問題を抱えている。家族みんなが介護に関わり、地域包括支援センターや家族会にも相談を。
1.家族を介護する人の悩み
家族を介護している人は、介護の方を優先して、自分の健康をおろそかにしがちです。ほかの家族からも見過ごされてしまいがちなため、長期にわたって自宅で家族を介護している人の多くが、健康上の問題を抱えています。
ある調査で、家族を介護している女性と介護していない同年代の女性を比較したところ、介護している人では「抑うつ」「腰痛」「首・背中のこり」「高血圧」の割合が多く、48%の人に抑うつ、46%の人に高血圧があるという結果になりました。これらの原因としては、「ストレス」「気分の切り替えができない」「睡眠不足」「食生活の乱れ」などが考えられます。
2.介護している人の健康を守るために
いつも一人だけで介護していると、いざというときにほかの家族の協力を得られないことがあります。まずは簡単な手伝いから介護に参加してもらいましょう。このとき、「これをやってくれると私はうれしい」というように、「私は」を主語にして自分の感情を伝えるようにして、手伝ってくれたことに対して「ありがとう、助かった」と感謝することが大切です。
介護する人の健康問題は、本人の努力だけでは解決しません。家族を介護している人が健康を保てるように、周りの家族や身近な人がサポートすることが大切です。まずは話を聞いてあげてください。それが自分に何ができるかを考えるきっかけになります。
3.社会や地域の支援制度を利用する
会社などに勤務している人が介護を行えるようにするための法律として、育児・介護休業法があります。介護が必要な家族1人に対して「最長で連続93日間の休業(1回のみ)」「1年に5日間の休暇」をとることができるというものです。
地方自治体には介護相談のための窓口や、地域包括支援センターがあります。介護保険制度を利用するときには、ケアマネージャー(介護支援専門員)がさまざまなことを相談できる身近な存在となります。そのほかにも、地域には家族会や、介護する人を支える活動をしているNPO法人もあります。こうした支援を活用し、介護の悩みを一人で抱え込まないようにすることも大切です。
NHK「きょうの健康」2014年2月18日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140218-h-001.html