尿酸を減らすための最新治療を伝える。尿酸値が7を超えている高尿酸血症の人にはまず生活指導。薬による治療は尿酸値が8以上で腎臓病・高血圧などの合併症がある場合。
1.激しい痛みの原因
痛風の原因となる尿酸は、体の中でプリン体からつくられ、生成と排出のバランスをとる仕組みが正常に働いていれば、一定量に保たれるようになっています。ところが、何らかの理由で尿酸が過剰につくられたり、排出される量が減ったりすると、血液中の尿酸量が増え、痛風を起こしやすい高尿酸血症と診断されます。尿酸は血液中だけでなく、関節液にも溶けています。尿酸量が増えて濃度が高くなると、溶けきれなくなった尿酸が関節の中で結晶化し、沈着するようになり、長い年月をかけてたまっていきます。この結晶が剥がれ落ちると、白血球がこれを体の外敵とみなし、排除しようと働きます。このとき炎症性の物質が出され、腫れと激しい痛みが生じるのです。これが痛風発作です。
2.治療は生活改善と薬物療法
治療では、尿酸値を7.0mg/dL以下に下げることを目指し、まず生活指導が行われます。生活指導は尿酸値がどのレベルの人にも必要な治療で、「食事療法」「飲酒制限」「適度な運動」が中心になります。肥満のある人は、肥満を解消するだけで尿酸値が改善することがあります。
尿酸値が8.0mg/dL以上かつ腎臓病・尿路結石・高血圧・心臓病などがある場合、または尿酸値が9.0mg/dL以上であれば、薬による治療も検討されます。尿酸値を下げる薬には「尿酸をできにくくする薬」と「尿酸を出しやすくする薬」の2種類があります。そのほかに、痛風の発作時には痛みをとる薬として非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が短期間使われます。また、発作が起こりそうなときには、発作の進行を抑えるコルヒチンという薬を使用します。
3.薬物療法の注意点
痛風の治療に使われる薬でも、「痛みをとる薬」と「尿酸値を下げる薬」は全くの別物です。発作時には痛みをとる薬が使われます。尿酸値を下げる薬は、発作が悪化したり長引いたりすることがあるので、発作が治まってから2週間以上あけて使い始めることになっています。痛みをとる薬と違い、尿酸値を下げる薬は長く使い続ける必要があります。症状が治まったからといって自己判断で服用をやめると尿酸値は元の状態に戻ってしまいます。副作用などで困ったことが生じた場合には、自己判断で服用を中止せず、医師に相談しましょう。
NHK「きょうの健康」2014年2月11日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140211-h-001.html