女性にとって、生理中は様々な症状がでたり、温泉やプールに入るのを躊躇したり・・・。中にはこんなもの要らない!というほど、毎月辛い思いをされている方もいるかもしれません。
しかし、女性にとって毎月のように正しく生理がきていることは、いずれ元気な赤ちゃんを産むために必要なことです。
ここでは、生理と妊娠の関係についてみてみましょう。
毎月やってくる“生理”は、いつでも子宮に赤ちゃんを宿すことが出来ますよ!という体からのサインです。
女性の体ではおよそ28日周期で、卵巣からの卵子の排卵と、妊娠に向けた準備がくり返されています。妊娠に向けた準備とは、子宮の内側にフカフカのじゅうたんを敷き詰めると考えて下さい。しかし1回の生理周期の間にそれが使われなかった、つまり妊娠が成立しなかった時は、次の周期での準備のために一度古くなったじゅうたんを剥がす必要があります。
これが月経血として体の外に流れ出て来るのが“生理”です。しかしこれはその女性の体が健康であり、いつでも自分と赤ちゃんを養うことが出来ますよ、という証でもあります。
生理が来ない時、誰でも妊娠した!?と思うでしょう。女性の体では、妊娠が成立した時点で次の排卵が止まります。子宮の方でも、とても小さな胎児(この頃は胎芽という)を抱いていますので、今度はフカフカのじゅうたんが外に流れ出さないように必死に守ろうとしています。逆にこの時点で子宮からの出血があったら、それは妊娠が成立していないことになります。
しかしもう1つ、生理が止まる状況があります。体が自分以外を養えないと感じた時です。例えば、重い貧血がある場合や、無理なダイエットをした時などです。
普段からやせ気味の人は「●kgより痩せたら生理が止まる」ということはありませんか?それは、脳が「これ以上痩せると命の危険がある」と察知して、必要なホルモンの分泌をやめてしまい、結果的に生理が止まってしまうのです。
これを体重減少性無月経といい、若い人の生理不順の原因の多くはこれによるものです。例えばBMIが19以下、体脂肪率が20%以下の場合は体重を増やすことから治療が始まります。
実際に母体が低体重で妊娠すると、早産や低出生体重児を出産する確率が増えるなどの問題があります。また、この状態を2年以上放置していると、およそ10~20%の人は体重が戻っても生理が再開しなくなるので要注意です。
1ヶ月に一度の生理が来れば妊娠できるかというと、そうでもありません。見た目上は一定期間出血しているので「生理がある」と考えますが、本当に排卵して生理が来ているかは、いくつかの検査をしないと分かりません。
例えば強いストレスや、胃腸薬や抗神経薬の常用により高プロラクチン血症という状態になっていると、脳からの性腺刺激ホルモンが上手く分泌されませんので、卵巣内での卵子の成熟が上手くいきません。しかし少しは成熟しようとしているので、子宮の内膜が少しだけ厚くなり、一定期間が過ぎるとそれを体の外へ出そうとします。
生理の周期が短い、1回の生理での出血量が少ない、1回の生理の期間が長い、などの症状があれば、無排卵性出血(排卵していないが生理があるように見える)かもしれません。
無排卵性出血の治療は大きく3つ。
1.漢方薬などで体質改善を図る、
2 .ピルでホルモンバランスを整える、
3 .排卵誘発剤で排卵させる、です。
今すぐの妊娠を望んでいなければ1 .や2 .でも良いでしょう。すぐにでも妊娠したい場合は、 3 .で卵子の成熟を促し、排卵させるようにします。
いずれにしても、まずは自分の体で起こっていることを正確に知ることです。婦人科での診察を受けましょう。
成人女性の場合、女性ホルモンの影響により、体温は変化します。
通常、人の深部体温(体の表面ではなく深いところの体温)は37℃くらいで一定です。1日のうちでも1℃くらしか変動しません。しかし成熟した女性の場合、女性ホルモンの影響により、1回の生理周期のうちで変動しています。
健康な成人女性の場合、生理の始まりとほぼ同じくらいのタイミングで、体温が下がります。これを低温期といいます。そこからおよそ14日間、こんどは排卵があります。この時、さらに体温が下がりますがこの変化は1日だけです。排卵が起こると翌日には体温がぐっと上がり、ここから次の生理までおよそ14日間、体温が高い日が続きます。これが高温期です。
これらの変化は、脳からの女性ホルモンの分泌を促すホルモンと女性ホルモンがバランスよく働き、きちんと排卵・生理が繰り返されている時にみられます。つまり、男性や閉経後の女性、子供ではみられない変化なのです。
基礎体温を付けていると、次のようなことが分かります。
・次の生理の予測ができる
・生理に伴う症状があらわれる時期が予測できる
これらがある程度予測できると、旅行や出張などのスケジュールが立てやすくなります。
・女性ホルモンの分泌と排卵がきちんと出来ているが分かる
・妊娠しやすい時期を予測できる
・妊娠や流産の可能性が分かる
これらは自分の体が妊娠できる状態にあるか、という判断に役立ちます。自分で判断できなくても、婦人受診をする時や、妊娠を希望する時には必須の情報です。今すぐ妊娠を希望していなくても、自分の体を知るにはとても大切です。
(監修:有秋台医院 副院長 医学博士 鶴岡信栄先生)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140304-00010000-mocosuku-hlth
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