「補聴器を買ったが高くて支払えないので解約したい」「期待したほど聞こえが改善されないので解約したい」といった補聴器の契約等に関する相談が全国の消費生活センターには数多く寄せられており、年々増加傾向にある。
耳の聞こえが十分でない高齢者からの相談が多く、店頭などで説明を受けたとしても十分理解・納得した上での契約でないケースや、購入するつもりではないときに勧められて十分な聴力の把握もなく契約している例もある。また、家族や福祉関係者など周りの人からの相談も目立つ。
そこで、補聴器の契約等をめぐるトラブルを分析して問題点をまとめ、消費者被害の未然防止・拡大防止のため情報提供するとともに関係機関に要望することとした。
PIO-NETにみる「補聴器」に関する相談件数
補聴器に関する相談は2003年度は237件であったが、2012年度は529件と10年前に比べて倍増している。
また、毎年度増加傾向にあり、今年度は435件(2014年1月31日までの登録分。前年同期日では365件)となっている。
主な相談事例
- 【事例1】
- 認知症気味の高齢者が補聴器を購入したが聞こえないので返品に行ったら、より高額なものを勧められた
- 【事例2】
- 高齢者が補聴器の店に一人で出向いて、勧められるまま両耳分を契約したが、高額なため片耳分への変更を申し出たものの注文品なのでキャンセル不可といわれた
- 【事例3】
- 同行者がいない間に補聴器を契約。使用すると頭痛がし、高額なため解約したい
- 【事例4】
- 試聴した補聴器は聞こえたが購入したものは何度調整しても聞こえない
- 【事例5】
- メガネ店で高額な補聴器を購入したが、その後病院で「補聴器は使用しないほうがいい」と診断された
- 【事例6】
- 補聴器の説明や調整などアフターケアを約束したのに自宅に来てくれない
事例からみた問題
- 自分の耳の聞こえの状態を把握しないまま補聴器を購入している
- 高齢者が一人で店舗に出向いて補聴器の特徴、メンテナンス(調整)などについてよく理解しないまま契約している
- 補聴器に関して、販売店の知識・技能やサービス体制が十分でない場合も
- 「聞こえ」の把握や購入の目的にあった販売がされているのか疑わしいケースも
消費者へのアドバイス
- 補聴器を購入する前に専門医に相談すること
- 補聴器について情報を収集するとともに、専門的な設備や専門知識・技術を持った者がいる販売店で購入すること
- 耳の聞こえが十分でない高齢者の補聴器の契約には周りの協力が必要
- トラブルになった場合など、最寄りの消費生活センターへ相談すること
事業者への要望
- 補聴器を取り扱う販売店の販売・サービス体制の充実・向上を図ること
- 消費者が機能や価格などを十分に理解した上で販売するようにすること
- 補聴器に関する情報について啓発を行うこと
要望先
- 一般社団法人日本補聴器工業会
情報提供先
- 消費者庁 消費者政策課
- 内閣府 消費者委員会事務局
- 厚生労働省 医薬食品局 審査管理課 医療機器審査管理室
- 一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会
- 日本聴覚医学会
本件連絡先 相談情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20140220_3.html