去年、日本睡眠学会が発表したガイドラインでは不眠症と診断されたらすぐに睡眠薬を処方するのではなくまず睡眠衛生指導で生活改善すべきと明記された。睡眠日誌等を紹介。(※睡眠日誌の図は、NHK番組ホームページでご確認ください)
1.睡眠と健康
睡眠には、脳を休めて回復させるという働きがあります。また、情報を選別して記憶として定着させる働きのほか、体の成長や修復に関わる成長ホルモンの分泌にも関係しています。そのため、睡眠が不足すると、肥満や糖尿病などの生活習慣病を引き起こしやすくなったり、うつ病のリスクが高くなります。
睡眠の悩みは「忙しくて十分な睡眠時間がとれない睡眠不足」「寝る時間や起きる時間がバラバラで日中に眠気が残るリズム障害」「眠れる状況はあってもよく眠れない不眠症などの睡眠障害」の3つに大別されます。
2.不眠症とは
日本人の場合、約10人に1人の割合で不眠症のある人がいるといわれています。「眠れる状況はあっても眠れない」ことに加えて、「眠気のために日中の活動に支障がある」といった状態が通常1か月以上続くと不眠症と診断されます。不眠症には、寝つきが悪い入眠障害、寝ている途中で目が覚める中途覚醒、朝早く目覚める早朝覚醒、熟睡した感じがしない熟眠障害の4つのタイプがあり、これらの症状を複数併せもつ患者さんも見られます。
3.不眠症の治療
2013年に作られた診療ガイドラインでは、不眠症の治療の際、まずは睡眠衛生指導を行うことが明記されました。睡眠衛生指導は、快適な眠りを阻害する状況を減らす治療法で、「寝室を暗く静かにする」「眠る4時間ぐらい前からカフェインをとらない」「眠る前には明るい光を避ける」「眠くなってから寝床に行く」など、生活習慣を見直すことから始めます。入浴や運動で体温を少し上げ、その後体温が下がるタイミングで寝床に就くことも勧められます。
睡眠衛生指導で改善しない場合は、睡眠薬を使用するとともに、睡眠についての考え方や行動パターンから眠りを改善する認知行動療法が行われる場合もあります。中でも、毎日の眠りの状態を記録する睡眠日誌をもとに、寝床で眠れずにいたりうとうとする時間を減らす睡眠制限法が高い効果を上げています。
不眠症かどうかは、国際的に診断に用いられる不眠症問診票を使ってチェックすることができます。かかりつけの医師に相談しても改善しない場合は、日本睡眠学会のホームページで認定医のいる医療機関を探すこともできます。
NHK「きょうの健康」2014年1月27日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140127-h-001.html