[ カテゴリー:生活, 食育 ]

和食の理想は「1975年のメニュー」 エネルギー燃焼よく肥満抑制

「和食」が日本人の伝統的な食文化として国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録され、食文化だけでなく、ヘルシーな面からも改めて注目が集まっている。その中で、いつの年代の和食が栄養・健康上、理想なのかについて研究データが発表された。食生活が欧米的になりがちな現代にあって、理想の和食の組み合わせを知ることは、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防・改善にとっても大きな意味を持つだろう。(山本雅人)

◆魚介類・海藻が豊富

東北大大学院農学研究科の都築毅准教授(食品機能学)のグループが理想の和食の年代について研究をした結果、「1975(昭和50)年ごろ」の和食であることを突き止め、日本肥満学会で発表した。

75年の典型的なメニューを調べたところ、果実類、海藻類、魚介類が豊富で、ほかに卵や豆類、砂糖などもよく使われていた。

このメニューを粉末化し、餌に混ぜてマウスに8カ月間食べさせたところ、内臓脂肪が蓄積しにくく、血中のコレステロールの値も低いことが分かった。また、マウスの遺伝子を検査した結果、肝臓での脂肪分解が活発に行われていることやストレスを抑制する作用も高かったという。

75年当時のメニューからは、タンパク質や脂質を肉ではなく魚介類から主に取っていたことや、ワカメやヒジキなどの海藻を多く食べており、食物繊維が豊富に取れていたことが示されている。

この研究結果について、都築准教授は「体内でのエネルギー燃焼を良くし、肥満を抑制することを意味する。ヒトにも当てはまるとみられる」と解説する。

今回の研究に際して、都築准教授らは75年のほか、60(昭和35)年、90(平成2)年、2005(17)年と、15年ごとの4つの年の平均的メニューを割り出した。厚生労働省「国民健康・栄養調査」や文部科学省「日本食品標準成分表」を参考にしたという。

◆多くの食材少しずつ

60年の朝昼夕3食の平均的なメニューは「コメの割合が多く、おかずの種類・量が少ない」特徴があり、75年に比べると栄養バランスに劣る。90年は「乳製品やイモ類が豊富だが、食の欧米化の影響で朝のパン食が増えた」傾向にあり、カロリーの摂取過多につながる。2005年は「コメが少なく、肉類、油脂類が多いのと、丼ものやパスタなどの単品メニューが目立ってきた」特色があり、油分の取り過ぎになっている。

都築准教授は「和食丸ごとの有益性を年代別のデータで立証できた。メタボや肥満は日常の食生活の偏りが原因ともなっている。その予防のためには、多くの食材を少しずつ食べるという75年ごろのメニューを思い出してほしい」と呼び掛ける。

和食の理想の組み合わせが広まれば、世界の健康長寿に貢献し、和食イコール健康という価値がさらに高まることだろう。

■和食の海外人気、ほぼ定着

すしブームから始まった和食の人気は一過性に終わらず、海外でほぼ定着し、世界中の日本食レストランの店舗数の増加という形になって表れている。

農林水産省のデータでは、海外での店舗数は平成18年に2万4000店だったのに対し、25年(3月現在)には5万5000店と2倍以上に伸びている。ただ、日本食を調理するシェフが十分な教育や指導を受けていない外国人が目立ち、伝統的な和食とはほど遠い料理を出す店も少なくない。こうしたことは本来の和食を届けるうえでの課題となっている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140208-00000501-san-hlth

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