「朝食を抜くと太る」という説も
生活習慣といえば、最近の日本人は朝食を食べない人が増えているようです。しかし、朝食は食べる習慣を付けるべきですし、とくにご飯やパンなどの炭水化物を必ず摂ることが大切です。
まず、朝食を時間がないので食べないなどというのは論外です。そのようなルーズな生活習慣こそが不健康の象徴といえます。
また最近は、ダイエット目的で朝食を食べないという人もいるようです。たしかに朝食を食べなければ、その分だけカロリー摂取が減って体重を落とせるかのようですが、医学的に見るとそう単純なものでもありません。
まず、朝食を抜くと、その前の食事の後から食べない状態が長く続くことになります。いわば飢餓のような状態になっていく前段階になるのです。そのようなとき、人間の体は予防しようとします。
具体的には、本能的に脂肪を貯め込もうとする働きが強くなるのです。体全体の仕組みがそういう状態になるので、かえって太りやすくなり、むしろダイエットには逆効果だという説もあります。
朝食をとらないような生活サイクルにすると、排泄時間が不規則になる面もあります。午前中に排泄するのは、一日の生活サイクルをスムーズにしますが、そうでないのはダイエットにもマイナスかもしれません。
このように朝食を規則正しくとる食生活は、生活習慣としても望ましいのですが、さらに朝食には炭水化物を摂るとよいでしょう。炭水化物は、一日をスタートさせる活力源だからです。
炭水化物は、人間の活動に必要なエネルギーをつくり出すための栄養素といえます。主な要素は糖質です。
1グラムあたり4キロカロリーのエネルギーがあります。摂取すると、活動するエネルギーになるだけでなく、幸福感を感じたりリラックスするという効果があるのです。
体に入った炭水化物は、日常の生活活動の中で消費されます。消化、分解されて、一部は血液に乗り活動エネルギーとして消費されるのです。
しかし、一部は筋肉や肝臓にグリコーゲンとして蓄えられます。ただ、すべてではなく、肝臓や筋肉に入りきらないで余ったものは、脂肪として身体に蓄積されるのです。
つまり、過剰摂取したり適切に消費されなかったりすると、体脂肪として体内に蓄積され、高脂血症、脂肪肝、動脈硬化などを引き起こす可能性もあります。このため、栄養素のうち炭水化物だけを抜くダイエットもあったりして、目の敵にされたりしたこともありました。
しかし、人間は脳を活性化するためには糖分が必要になるのです。脳のエネルギーとなるのはブドウ糖だからです。糖分が体を目覚めさせるのです。
これが、朝食ではご飯やパンなどの炭水化物を中心にメニューを考えるといい理由なのです。かりに体重をコントロールしたいのなら、炭水化物を中心にしながらも低カロリーにすることを考えるといいでしょう。
(中原英臣著『こんな健康法はおやめなさい』より)
★中原英臣氏は、著書『こんな健康法はおやめなさい』で、健康で幸せな日々を送るための生活習慣(健康習慣)として11項目を紹介しています。
<健康で幸せな日々を送るための11の生活習慣>
1、寝る前と朝起きたときのコップ1杯の水
2、帰宅後のうがいと手洗い
3、朝食には必ず炭水化物(糖分)を
4、フッ素入りの歯磨き粉と食後のキシリトールガム
5、1日100歩よけいに歩く
6、お酒を飲むなら週に1晩の休肝日を
7、タバコを吸う人は禁煙!
8、野菜を毎日1皿プラスする
9、踏み台昇降(階段なら1段の昇降)を1日50回
10、1回20~30分のウォーキングを週3日
11、塩分の摂取は1日10グラム以下に
以上、11の「生活習慣」を1つでもいいですから、できることからはじめてみてください。
■中原英臣(なかはら・ひでおみ)
1945年生まれ。東京慈恵会医科大学卒。医学博士。 1977年より2年間、米国セントルイスのワシントン大学で バイオ研究に従事。その後、山梨医科大学(現・山梨大 学医学部)助教授、山野美容芸術短期大学教授など を経て、現在、新渡戸文化学園短期大学学長。マスコ ミでコメンテーターとしても活躍。
主な著書に『テレビじゃ 言えない健康話のウソ』(文藝春秋)『患者さんには絶 対言えない大学病院の掟』(青春新書)『医療破綻』 (岡田奈緒子氏との共著、PHP研究所)などがある。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140130-00010000-php_s-bus_all&p=1