過去半年間、わたしは Buffer 上で記事を執筆していました。とにかく大量に書いていました。さらに、自分のブログとスタートアップのためにも、定期的に書くようにしていました。たくさんの文章を書いていたのですが、その間、自分のワークフローや記事のスタイルに関して、小さな改善を加えていきました。
その結果、わたしは自分の文章力を改善することができ、どうすればもっと良い仕事ができるか、より深く理解できるようになりました。以下に紹介するのは、わたしが取り入れた方法ですが、文章力を高めたい読者のみなさんにも参考になることを願っています。
1.さまざまな人からフィードバックを得る
フィードバックは非常に重要です。わたしの場合、書いたものを時間をかけて読み返さなければ、細かい誤字脱字や文法的な間違いを見落としまうことがよくあります。とにかく精密に文章を練り上げることはせず、同じ内容を繰り返し書いてしまうことがあります。なので、第三者に自分の文章を読んでもらうことで、そうした問題を見つけることができます。
一方、執筆に時間をかけすぎるのも、良くありません。時間をかけすぎると、記事の方向性を見失ってしまうことがありますし、一歩引いて書いた内容を見ることが難しくなります。また、記事のテーマについて背景知識がほとんど無い読者の視点に立って、記事を見ることも難しくなります。第三者のフィードバックを得ることが難しければ、編集をする前に、一度記事を寝かせて、頭をすっきりさせるべきでしょう。しかし、なによりも第三者のフィードバックは、文章の質を高めるのに効果的だと思います。
Bufferの共同創業者である Leo が、たいていの場合には Buffer のブログ記事をチェックしてくれますが、時には他のメンバーも加えて、プライベートチャットサービスの HipChat 上の Content Crafters グループ上で意見を交わし、記事の内容を検討することもあります。複数のアイデアや視点を得ることは、本当に役に立ちます。
2.新しいタイプの記事を試してみる
Buffer においては、どういうタイプの記事がもっとも効果的か、かなりよく把握していますが、それでも常に新しいタイプの記事を試すことは面白いと思います。以下に挙げるのは、過去数ヶ月にわたって、わたしが試してみた記事のタイプです。
- リスティクル── 内容を箇条書きにした記事
- 個人的な体験を元に書くパーソナルストーリー
- オピニオン記事
- ハウツー記事
- 製品の特徴・機能を紹介した記事
- リンクまとめ記事
- お気に入りのプロダクト・アプリのまとめ
- ブックレビュー記事
- インタビュー記事
より多くのタイプの記事を書いてみることで、記事づくりに関する新しい視点を得ることができます。(たとえば、どんなタイプの記事でも、画像を使うことで記事の内容が面白くなる点など)また、新しいタイプの記事を書くときには、よりがんばって書かなければなりません。
今年、挑戦してみたいと思っているのは、長い記事を書くことです。電子書籍やダウンロード可能な PDF のような形式で。新しいタイプの記事に挑戦することは、わくわくすると同時に勇気のいることですが、文章力の筋肉づくりには、とても効果があります。
3.新しい方法を取り入れて、ワークフローを改善する
過去半年にわたって、執筆プロセスについても、新しい試みをしてきました。効率を上げる一方で、記事の質を下げるようなことはしたくありませんでした。新しい方法をいくつか試してみたことで、なにがうまくいき、なにがうまくいかないかを判断できるようになりました。わたしの場合、さまざまなメソッド、環境、時間配分を試して、最適なワークフローを追求しました。現在は、Buffer に毎週3つか4つの記事を、Exist にひとつかふたつの記事を書いています。また、それ以外にもうひとつ、自分の個人ブログ用に記事を書いています。
いくつかの新しい方法を試した点というのは、ブレインストーミング、概要づくり、原稿書きの部分でした。編集のプロセスは、基本的に他の工程よりもシンプルです。きっと多くの方が賛同してくれるかと思うのですが、もっとも難しいのは、記事の一番最初の出だしを書くときです。記事のタイプや、どれだけのリサーチが必要な内容かにもよりますが、メモ書きと概要を用意しただけで、執筆を始めることもあります。多くの引用を使う場合には、使っているテキストエディターに多くの素材をコピー&ペーストして、そのエディター上で執筆を進めます。
引用よりも、自分の言葉をより多く書く記事に関しては、まず紙にメモをたくさん書いて、テーマに関するアイデアを膨らませます。こうすることで、記事の全体像を捉えやすくなりますし、記事の構造をうまく組み立てられるようになります。紙にアイデアを書き出す作業に関しては、Austin Kleon が著書『Steal Like An Artist』で書いた言葉が気に入っています。
コンピュータは、自分の中の生真面目で完璧主義な部分を引っぱりだす。アイデアが生まれるまでに、アイデアを編集し始めてしまうのだ。
そのほかに取り組んでいたことは、テーマの下調べをする際に、ブログ記事よりも関連書籍をより読むようにすることです(もしくは、ブログ記事と書籍のどちらもを参照する)。わたしは、肘掛け椅子に座って、本を読み、ペンを走らせて下調べをするのが好きです。そうすると、コンピュータの前で世界とつながっている状態から、物理的にも精神的にも休憩をとることができます。
また、こうする方が、テーマに関する情報をより多くつかみ、処理できることが分かりました。こうした準備を経て書いた記事は、ブログ記事を元にリサーチをして、深く理解しないまま、その内容を元に書いた記事よりも、より質が高くなります。
4.理論は最小限にして、とにかく書く
クリエイティビティが求められる分野においては誰しもが、クリエイティブな筋力を鍛えるのが面倒だと感じる気持ちと闘っているかと思います。下調べや読み物をしたり、ツイートをするほうが、実際に文章を書くという行為よりもずっと簡単だからです。
わたしは、ネット記事を読んだり、探したりすることは、もっとも最悪な仕事の邪魔になると気付きました。なぜなら、そうした記事は、自分の仕事に重要であるため、自分を制して必要以上に読まないようにコントロールすることがとても難しいからです。最近読んだ、Fiery Cushman 氏によるショートエッセイでは、なぜ人は気付かないうちにずるをしてしまうのか、その理由が説明されていました。その理由は、人が仕事を先送りにしてしまう理由にも当てはまると思っています。
ある研究によると、人は自分がずるをしているという意識が無いときに、できる限り多くのずるをしてしまう傾向があるそうです。これは注目に値する内容です。というのも、自分の中の一部がどれだけずるをできるかと内心推し測っている一方で、別の自分がそのことに気付かないように自分の中で調整されているということだからです。
また、わたしは自分がだらだらしていて、原稿書きを既に始めていなければならない段階であることに気付くと、このDavid McCullough による引用を思い出すようにしています。
下調べをもっと続けたいという気持ちに強く駆られることがあります。その時が、まさに下調べを止めて、書き始めなければならない時なのです。
時間の浪費を減らすためのもうひとつの方法は、読む量を減らすことです。RSSフィードの購読を止めましたし、読むべきネット上のブログ記事選びには、以前よりも慎重になりました。そうした記事を読み始めると、読み進めるうちに自分の方向性を見失ってしまうことが多く、特段新しい情報や役に立つ情報を得られることが、ほとんどないのです。
5.より幅広く読む(かつ行動する)
自分の役に立たないウェブコンテンツを読む時間をできる限り減らそうとしていますが、それは以前に既に何百万回も読んだことがあると思われるような記事のことを指しています。一方で、より幅広いジャンルの読書もするよう意識しています。フィクション、ノンフィクション、学界の文献といったものです。こうしたジャンルのものを読むことで、執筆に役立つ知識を増やす事ができます。また、より多くの新しい、クリエイティブなアイデアや面白い視点を得ることができます。
幅広い経験は、幅広いジャンルの読書と同じくらい重要であると考えています。より多くの行動をすることで、より多くのアイデアが生まれ、仕事の質が高まります。最近は、こうしたことを怠りがちですが、新しい経験が後で使える新しいアイデアを生むことを忘れないように心がけています。
6.集中して、メモを取る
これは、過去半年において、あまり実践できてませんでしたが、もっと実践すべく努力しようと心に決めたことです。過去に大量のメモを書いていたときには、非常に自分の役に立ちました。前項で、知識を増やすことが、仕事で使えるアイデアを増やすことにつながると書きましたが、残念なことに読んだ内容を全てしっかり記憶することはできません。
だからこそ、メモを取るべきです。手元のノートに書くのでも良いですし、アプリを使ってデータで記録を取るのでも良いです。とにかく、印象に残った情報や読んだ本、好きなフレーズや文言、面白い概念や、やってみる価値のあるアイデアを、後から振り返ることができるように記録につけるのです。
6 Ways I’ve Improved My Writing in the Past 6 Months|Buffer
Belle Beth Cooper(原文/訳:佐藤ゆき)