燕三条地場産業振興センターは29日、3月中旬にシンガポールと台湾で開かれる国際見本市に、燕市の高級洋食器や三条市の刃物などを初出品すると発表した。アジアに向けて本格的に「燕三条ブランド」を売り込む足がかりにする考えで、主に東南アジアの新興国の富裕層を取り込み、新たな巨大販路の獲得を目指す。(清水綾)
シンガポールで開かれる見本市ではインテリアやデザイン製品が扱われ、世界から約200社の参加が見込まれる。フランスで開かれている大型見本市「メゾン・エ・オブジェ」のアジア版として初開催されるもので、注目度が高い。
燕三条地区からは、15社が包丁や銅食器、アウトドア用品など119品を出品する予定。日本からはほかに、愛媛県の高級タオル「今治タオル」などを扱う7社も参加するという。
一方、台湾で開かれるのは「エコプロダクツ国際展」。環境に配慮した製品の見本市で、アジア各国・各地域持ち回りで開かれ、今年で9回目となる。来場者も2万人程度と予想され、燕三条からは、不要になった後に分解して再利用できる部品を使った缶切りや栓抜きなどを出品する予定だ。
同センターは2011年以降、ドイツの見本市に毎年参加し、燕三条ブランドとして売り出せる商品を企業から出品してもらっている。昨年9月には「メゾン・エ・オブジェ」にも出展した。
同センター企業支援課によると、「欧州での手応えは上々」で、1回の出展で平均約50件の見積もり相談や問い合わせがある。高級洋食器なども現地のバイヤーから高評価を得て、認知度が上がっているという。
こうした経緯を踏まえ、同センターは昨年から、富裕層が増えている東南アジアの新興国にも着目。昨年10月には、佐賀県武雄市などの6自治体と共にシンガポールに「前線基地」となる事務所を開設した。地場産品を同国や東南アジアで売り込むべく、企業の支援を行っている。
シンガポールでは日本食のレストランが人気だといい、同センターは、見本市への出品のほか、現地の有名料理人に三条市の包丁を使ってもらったり、レストランの客に燕市の高級食器を使ってもらったりして認知度を高めたい考えだ。
同センターの理事長を務める国定勇人・三条市長は、「これまでは欧州中心でアジアの需要を受け止めきれていなかった」と指摘。同課の担当者は、「見本市は商談とPRの場。数多く参加してさらに認知度を上げることが重要」と期待している。