脳の血管に詰まった血栓を溶かすt-PAという薬が脳梗塞には効果的。後遺症を大きく減らせることもある。ただし脳梗塞から3時間半以内に医療機関に到着する必要がある。
1.脳梗塞の治療
脳梗塞を発症すると、脳の血流が途絶えるため脳が徐々に壊死していきます。脳が壊死するのを防ぐには、脳梗塞が発症したら直ちに治療を開始することが重要です。発症直後にt-PAという薬が使えれば、後遺症を軽減することができます。t-PAは静脈に点滴する薬で、脳の血管に詰まった血栓を溶かす作用があります。血栓が溶けて血流が再開すれば、その先の脳の組織に再び血液が流れ、脳が壊死するのを防いだり、範囲を小さくとどめることができます。
2.t-PA治療の条件
t-PAによる治療を受けるためには条件があります。t-PAは脳梗塞を発症してから4時間半以内に開始しないと効果が期待できません。開始前の検査や診断に少なくとも1時間かかるとすると、発症後3時間半以内に専門の医療機関に到着する必要があります。また、脳出血のリスクがないことも条件です。「過去に脳出血を起こしたことがある」「脳梗塞の範囲が広い」「大手術を受けたばかり」「出血しやすい」「血圧が非常に高い」という場合は、脳出血の危険性が高く、t-PAを使用できません。
t-PA治療を受けられない場合は、カテーテルを使った血管内治療などが行われます。血栓を絡め取る方法と、血栓を吸引する方法があり、脳梗塞の発症から8時間以内に行うことができれば、効果が期待できるとされています。
3.再発を予防するために
脳梗塞は、治療後1年間に4~5%の人が再発するといわれ、5年間では4~5人に1人が再発するといわれています。しかし、脳梗塞の危険因子(高血圧・脂質異常症・慢性腎臓病・糖尿病・メタボリックシンドローム・心房細動など)を厳格に管理し、血栓ができるのを防ぐ薬をのむことで再発を減らせます。
薬には抗血小板薬と抗凝固薬があり、動脈硬化が原因の場合は抗血小板薬を使います。抗血小板薬には、主にアスピリン・クロピドグレル・シロスタゾールの3種類があり、それぞれ特徴が異なります。担当医と相談して適した薬を選びましょう。途中で服薬をやめると再発の危険性が高まるので、のみ続けることが重要です。また、これらの薬には出血しやすくなるという特徴があります。脳出血を予防するためにも、血圧をしっかり管理することが大切です。
NHK「きょうの健康」2014年1月8日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/medical/kenkotoday-20140108-h-001.html










