アレルギー疾患を抱える日本人は、約2人に1人ともいわれている(厚生労働省『アレルギー疾患対策の方向性等』2011<平成23>年8月)。原因の一つと指摘されるのが、家庭内のダニやホコリ、カビなどのハウスダスト。掃除がとても重要だが、間違った方法で症状を悪化させてしまうこともある。自身も3人の子どもの母親である小児科医の池谷優子氏に、アレルギーと掃除法について伺った。
***
アレルギーとは、人間が持つ防衛システム「免疫」が、害のないものに対して反応してしまう、ありがた迷惑な過剰反応です。現代の生活環境の中では、アレルギーの原因となるものがたくさん存在します。特に、ダニやハウスダストは季節に関係なく身の回りにあるため、常に刺激を受けることで、さらにアトピー性皮膚炎、鼻炎やぜんそくといったアレルギー症状を引き起こします。
アレルギー疾患の治療は、原因となるものを除去・回避するのが一番の近道。ダニやハウスダスト対策はすべてのアレルギーに共通かつ最大の注意点。しっかり掃除することが大切です。
小児科医という仕事柄、アレルギーの知識もあり、こまめに掃除もしていたので、我が子がハウスダストによるぜんそくになった時は、「そんなばかな!」という気持ちでいっぱいでした。1日4回も掃除機をかけるなどせっせと掃除をしたにもかかわらず、症状は悪化の一途をたどり、治まる気配がありません。
「どうして症状が改善しないのだろう?」–冷静になってさまざまな掃除の方法を調べたところ、実はよいと信じて行ってきた掃除法が、むしろぜんそくを誘発していたことに気付きました。
たとえば、頻繁に掃除機をかけること自体が、ホコリをまき散らす原因でした。掃除機から出る排気で、ホコリを空中にばらまいていたのです。フローリングのようなつるつるした所は、拭き掃除でホコリをぬぐうことが大切です。これは一例で、自らの掃除法を見直して以来、子どものぜんそくの発作はおさまりました。
http://news.goo.ne.jp/article/benesse/life/benesse-11566.html