婚活サイトなどで知り合った相手から、将来のための財産形成や資産運用を口実に、いわゆるデート商法的な手口により、投資用マンションなどを購入してしまったという相談が、各地の消費生活センターに寄せられており、今年度に入って「消費者トラブルメール箱」にも寄せられるようになった。
従来のデート商法と言えば、異性の販売員が名簿などを基にアポイントを取り、デートのような状況を演出、恋愛感情を利用し、アクセサリーや投資用ソフトなどを購入させていたが、今回のケースは、よりスケールアップしている。契約購入金額の大きさ、金銭被害にとどまらない消費者へのダメージなどから、手口を周知し、被害の拡大防止を目的に情報提供する。
PIO-NETにおける相談の概要
相談件数
2009年度以降、各年度とも、前年度の倍以上のペースで相談件数が増加している。本年度も、すでに昨年度分を上回る相談が寄せられており、増加傾向は明らかである。
契約者の属性
- 年齢・性別
契約者の平均年齢は35.1歳、性別では女性が男性の2倍以上となっている。 - 職業別内訳
契約者のほとんどが給与生活者であり、勧誘者側は対象を前もってかなり絞り込んでいることが伺える。
契約購入金額
1人当たりの平均額は約3012万円で、通常の消費生活相談(2012年度平均143万円)と比べ、かなり高額の事例が多い。
主な相談事例
- 【事例1】
- 婚活サイトで知り合った投資コンサルタントの男性を信じ、投資用マンションを契約
- 【事例2】
- 婚活サイトで知り合った男性とデートを繰り返し「税金対策・年金代わり・個人的に面倒をみる」と言われて契約、その後音信不通に
- 【事例3】
- 旅行の約束までした男性から勧められ、よく分からないままマンション契約。解約を迷っている間にクーリング・オフ期間を超過、男性とは疎遠に
- 【事例4】
- 婚活パーティーで親しくなった女性に勧められ、マンションを相場より高く買わされた
- 【事例5】
- 婚活サイトで知り合った男性を信じて「将来のために」とマンションを購入したとたん、連絡が途絶えた。売却を考えたものの市場価値は半値だった
相談の特徴
- 資金管理に詳しいと自称する相手が個人情報を詳細に把握して売り込んでくる
- 将来の生活設計をイメージさせて売り込んでくる
- 契約までの流れが、手回し良く進んでいる
- 相場より高額で購入しているケースも
相談から見る問題点
- いわゆる「デート商法」の中でも、経済的・精神的被害が非常に大きい
- 詳細な個人情報が把握され、それに合わせた売り込みをかけられる
- 発覚が遅れがちであり、契約解除が困難
消費者へのアドバイス
- 目的外のアプローチに注意する。問題は一人で抱え込まないこと
- マンション購入は、返済計画や購入後の運用コストもふまえ、慎重な判断が必要
- 公開、開示する個人情報の内容や閲覧範囲に注意する
情報提供先
- 消費者庁 消費者政策課
- 内閣府 消費者委員会
本件連絡先 相談情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20140123_2.html