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認知症対策 生活習慣の改善も予防になる

認知症の高齢者が、従来の予測を大幅に上回るペースで増えている。予防や診療の体制整備を急がねばならない。

厚生労働省研究班の推計によると、認知症の高齢者は462万人に達する。過去20年間で6倍に増えたという九州大の研究結果もある。

急速な高齢化に加え、糖尿病の増加が認知症の患者数を押し上げている事実は見逃せない。

国内外の調査で、糖尿病を患う人は、アルツハイマー型認知症の発症リスクが2倍前後に高まることが分かってきた。

アルツハイマー型認知症は、脳内に異常なたんぱく質がたまって発症する。糖尿病になり、血糖値を下げるインスリンが多量に分泌されると、このたんぱく質が分解されにくくなって蓄積し、認知症が起きやすくなるという。

糖尿病は、食べ過ぎや運動不足による肥満が主な原因だ。運動や和食を中心とした食事で生活習慣に気を配っている人は、糖尿病ばかりでなく、認知症の発症リスクが低いとのデータがある。

厚労省は、こうした情報を周知すべきだ。若い頃から生活習慣に注意して予防につなげたい。

認知症の前段階とされる「軽度認知障害」も400万人に上る。記憶力や判断力の低下といった症状が表れる。早く対処すれば、認知症への進行を抑えられる可能性があるという。予防法の早期確立が期待される。

認知症になった場合でも、早期発見は重要である。頭部を強打したことで血腫が脳内にできた場合など、治療により回復可能なケースがあるからだ。

だが、診断がつかないまま、症状が悪化する患者は少なくない。専門医による「物忘れ外来」を普及させるなど、正確に診断できる態勢作りが必要だ。

早期に診断がつけば、医師の指導のもと、家族や周囲の理解と協力で、より長く家庭生活や仕事を続けることも可能だろう。

認知症対策は、高齢化が進む先進国共通の課題となっている。

日米など主要8か国は先月、ロンドンで初の「G8認知症サミット」を開いた。2025年までの治療法確立を目指し、研究費の大幅な増額や研究データの共有を図ることで合意した。

未解明な部分が多い認知症の研究に、国際協力は欠かせない。世界で最も速く高齢化する日本が主導すべきだ。政府が先頭に立ち、研究陣の総力を結集して臨んでもらいたい。

http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/life/medical/20140116-567-OYT1T01453.html

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