全国一の長寿県発のアイデアで高齢者の生活を便利にしようと、NTTドコモ長野支店(長野市)は、簡単に扱えるタブレット端末の開発を進めている。操作アイコンを絞り込んだ親しみやすい画面が特徴で、他に例がない試みだという。【古川修司】
大町市老人クラブ連合会の協力を得て開発しているのは、起動時に表示されるホームアプリ「おらほのタブレット」。和室内をイメージしたイラストの机の上に「メール」「テレビ電話」「健康手帳」「新聞(ニュース)」の絵が並び、タッチするとそれぞれの機能が使える。市販品と同じ画面にもなるが、誤操作や混乱を避けるためにあえて切り替えにくくした。
10インチサイズの端末を昨年12月中旬から1カ月にわたって70~80代の15人に貸し出し、実証実験を実施。15日には大町市役所で意見交換会があった。
同市常盤の栗林幸雄さん(82)は「指先で操作できるのがいい。メールは便利だし、ぜひテレビ電話で、離れて暮らす子供や孫と顔を見ながら話がしたい」と気に入った様子だった。パソコンもあるが、文書作成にしか使っていないという。
集計の結果、多くの人が日常的に扱い、ニュース・天気予報を見るケースが目立った。同支店はさらに改良を重ね、6月ごろまでに完成させる計画。その後、自治体や地域団体と連携して普及させることを検討している。
同支店によると、携帯電話各社が既に高齢者向けスマートフォンを販売しているが、機能を特化させたタブレットはまだない。画面が大きくて見やすく、タッチパネルはキーボードに不慣れな人でも扱いやすいという。
同支店法人営業部の清水友美さんは「高齢化率の高い長野でIT(情報技術)弱者を作らないために、何ができるかを考えた。便利な道具なので、生活の中に取り入れてほしい」と話している。大町市福祉課高齢者・介護保険係の大塚裕明係長は「孤立しがちな1人暮らしの高齢者にとって、貴重なコミュニケーションの手段になり得る。在宅介護者の支援や健康チェックへの活用も考えられる」と期待を寄せている。
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