最近は、うつ病や自殺が増えていることから、うつ病に対する注目が高まり、その診断や病名にも検討がなされるようになっています。認知症や慢性疲労症候群、線維筋痛症など、うつと間違いやすい病気にも注意が必要です。
厚生労働省の研究によれば、うつ病を経験した者は15人に1人と推計され、多くの人が経験している身近な病気といえます。今回は、軽度のうつに対するセルフケアを植物療法(ハーブ)からご紹介します。
■更年期の抑うつには、セントジョーンズワート
古代ギリシャ時代、セントジョーンズワートの花に多く含まれるヒペリシンが血液のような色をしていることから、神聖な植物として外傷、利尿、魔よけとして利用されていました。日本や中国では、止血、解毒、創傷治療などの薬草として用いられていました。
そのほかにも、季節性の感情障害、更年期、産前産後などのさまざまな抑うつに対応できますが、医薬品との薬物相互作用には注意が必要です。
■不安や緊張がとれないときは、バレリアン
古代ギリシャから、神経を鎮めて眠りを深めるハーブとして用いられてきたバレリアン。現在でも、欧米では多くの人々の眠れない悩みを救っています。においは強烈ですが、ティーにするとやわらぎます。また、就寝前だけでなく、不安や緊張をやわらげる目的で日中に飲用するのもおすすめです。
■質の良い睡眠をとりたいときは、パッションフラワー
パッションフラワーは緊張をやわらげ、眠りの質を高めるハーブとして知られています。安全性が高いハーブなので、子どもや高齢者にも安心して使用できます。単独で用いるより、バレリアンやジャーマンカモミール、リンデン、レモンバームなどの鎮静系のハーブとブレンドすると、より効能が高まります。
■アロマトリートメントで全身リラックス
アロマオイルも、心と体にはたらきかけることができる植物療法です。香りの好みは個人差があるため、オイルは感覚を優先して、直感的に選んでみましょう。傾向としては、寝付きが悪いときはラベンダーやベルガモット、疲れているときはカモミールやネロリなどがおすすめです。
これらアロマオイルと、ホホバ油やマカデミアナッツ油などを混ぜてつくったトリートメントオイルで、首筋や肩のセルフマッサージをしたり、アロマバスにつかったりして疲れをほぐしてあげるとよりリラックスできます。
うつ病は、数ヶ月で自然治癒する場合もありますが、再発を繰り返すことが多いものですよね。とくに体が冷えると寂しい気持ちになるので、体をあたためることを心がけながら、これらをハーブティーなどで取り入れましょう。