家庭料理はそんなに難しいことではありません。レシピのとおりに作ればいいのですから。ただし、レシピに載っている用語を知らない場合は、ちょっと難しくなります。
例えばchopped(ぶつ切り)と diced(さいの目切り)とminced(みじん切り)の違いがすぐに分からないというあなた、他の用語の意味も、この機会にお教えしましょう!
ぶつ切りvs.さいの目切りvs.みじん切り
レシピを読んでいて、一番よく目にする言葉は、野菜をぶつ切り(chop)、さいの目切り(dice)、みじん切り(mince)、薄切り(slice)にしましょう、という表現です。
これらは、包丁さばきがある程度できれば、問題なくできそうな切り方です。でも、料理にとってサイズはとても重要。レシピを書いた人は、料理時間、口当たり、味を考えたうえで適切なサイズの切り方を教えています。例えば、大きめのみじん切りが小さすぎると、味が変わってしまうこともあります。下記に、本来の意味を載せておきます。
ぶつ切り(Chopped)
ぶつ切りは、大きな四角形に野菜を切ることです。一般的には、1個あたり1/2~3/4インチ(1.27cm~1.9cm)程度の大きさです。でも、レシピによっては、1個あたりの大きさを正確に記述しているものもあります。ぶつ切りは、割と大きさにゆとりがある場合が多いです。
さいの目切り(Diced)
さいの目切りは、基本的には小さめのぶつ切りです。1個あたりの大きさは1/4 ~1/8インチ(3mm~6mm)程度です。レシピに、1つあたりの大きさについて、3mmなどと記述している場合も多いです。
みじん切り(Minced)
レシピに、何かをみじん切りにしてください、と書いてある場合は、包丁でできる限り細かく切るように、という意味です。みじん切りにする機会が一番多いのは、にんにくです。America’s Test Kitchenの動画でにんにくを早くみじん切りする方法が紹介されているので、参考にどうぞ。
薄切り(Sliced)
薄切りは、言葉通り、薄くスライスすることです。薄切りする野菜の、1枚あたりの厚さはお好みで、という場合が多いですが、レシピによっては「薄く」「厚く」と指示が書かれていることがあります。
にんにくや玉ねぎなど刺激の強い野菜は、通常小さく切ります。(特に、火を通さない場合は!)切った食材のサイズの違いが、味や料理の時間にどのような影響を与えるか分かるまでは、しっかりと、レシピ通りに作りましょう。
グリル焼き(Broiling)vs.オーブン焼き(Baking)
オーブンには通常、オーブンとグリルのモードがついています。普通に使っていると、多くの人が「オーブン」モードばかり使ってしまいますが「グリル」焼きも、なかなか便利です。2つの違いは下記の通り。大きな違いがあるんです。
オーブン焼き(Baking)
オーブン焼きは、一定の温度で食材を包み込み、全方向から調理します。よって、オーブンで何かを焼く時は、オーブン全体が設定温度になって、食材をその設定温度で包み込んで焼きます。
グリル焼き(Broiling)
グリル焼きでは、グリルのように、食材を熱に直接触れさせます。オーブン焼きがショットガン(散弾銃)なら、グリル焼きは狙撃銃のようなものです。グリル焼きのモードにすると、オーブンの上部に大きな火が見えます。そして、その火の真下に食材を置いて、調理します。通常、グリル焼きでは、温度が287℃くらいです。
グリル焼きは、薄いものや、すぐに溶けるものを調理する時に使うのが一番です。よく使われる食材の例としては、ステーキやチーズなど。オーブン焼きは、ケーキやビスケット、ピザなど、何かを一斉に焼きたいときに重宝します。
ぐつぐつ煮る(Simmer) vs. 沸騰させる(Boil)
お米を炊いたり、スパゲッティをゆでている時など、レシピにはよく「ぐつぐつ煮る」「沸騰させる」という表現が出てきます。この2つは、少し異なる意味があります。
ぐつぐつ煮る(Simmer)
お鍋でぐつぐつ煮る、と書かれている時は、食材を沸騰させてから、火を小さくして、泡が見えない程度の火力にして煮ることです。これは93℃程度の熱さですが、料理人によっては82℃程度とアドバイスする場合もあります。ぐつぐつ煮る、とは、沸騰させて素材を悪くしない程度の熱さで、料理を早く温める方法です。
沸騰させる(Boil)
水は約100度で沸騰します。沸騰させるには、通常、コンロの火力を最大にして水を加熱する必要があります。野菜をゆでたり、米や麺類などでんぷん質の食材や、堅い肉を調理するときは、沸騰させると良いです。
レシピによく出ている表現は「鍋で水を沸騰させ、食材を入れ、~分間ぐつぐつ煮ましょう」といったもの。この場合、水が沸騰したら食材を鍋にいれて、火力を少し弱めましょう。そして、沸騰していない状態の時に水や牛乳などを入れましょう。
炒める、ソテー(Sauté) vs.フライパンで焼く(Pan Fry)
焼く時によく目にする表現といえば、炒める、ソテー(Sauté) と、フライパンで焼く(Pan Fry)という表現。炒めるときのやり方がほんの少し違うだけですが、食材の準備の仕方が違います。
炒める、ソテー(Sauté)
炒める、ソテーという風に書かれた場合、少量の食材を、フライパンを使って中火で炒めます。通常は、フライ返しで食材を動かしながら、料理を焦がさないように、きつね色に仕上げます。
フライパンで焼く(Pan Fry)
フライパンで焼く、と書かれている場合、鶏の胸肉やステーキなど大きな食材を、中火以上の火力で焼きます。食材をひっくり返すのは、通常、1回だけです。
The Reluctant Gourmetのウェブサイトには、2つの違いが下記のように書かれています。
炒める、ソテーするときは、フライパンで焼く時よりも時間が短いので、食材を小さく切ります。ソテーをする時は、食材を動かしているので、フライパンの温度は、そんなに重要ではありません。ちょうど良い火力、熱さを知るには、水を数滴たらして、すぐに沸騰して、2、3秒で消えるかどうか確かめると良いです。フライパンで焼く時は、フライパンの温度の管理が、重要です。フライパンが優しく「ジュージュー」と音をたてている状態が理想です。
細かく刻む(Shredded) vs.すりおろす(Grated)
チーズやスパイス、にんじんなどを使う時は「細かく刻む」と「すりおろす」違いを知っておく必要があります。なお、細かく刻んだり、すりおろすには、このようなチーズおろしが必要です。
細かく刻む(Shredded)
細かく刻む場合、チーズおろしの大きめの穴で食材を削ります。出来上がりは、料理ですぐ火が通り、ゆっくり溶ける、細長い一片になります。
すりおろす(Grated)
すりおろすと、食材は粉のような形状になります。皿の上にのせたチーズをすぐに溶かしたいときや、ソースのなかに野菜を隠してしまいたいときに便利な方法です。
細かく刻む、すりおろす、という2つの表現が使われる理由は、料理の時間や食材の堅さの違いによって、料理の仕上がりが変わってくるからです。
液体用計量カップ(Liquid Measuring Cup) vs. 粉類用計量カップ(Dry Measuring Cup)
2つの違いは、その名の通り、液体に使うか、粉類などの乾燥した食材に使うか、です。液体用計量カップはオンスで書かれており、粉類用計量カップは、カップで書かれています。正確に計量するため、2種類必要なのです。Chowのウェブサイトには、正確な計量カップが必要な理由が下記のように書かれています。
液体用計量カップは、液体をこぼさないように、カップの端より少し下に線が書かれています。砂糖や小麦粉などの粉類を液体用計量カップではかろうとすると、正確な量を量れず、ケーキなどの計量が大切なものを作る時、失敗してしまいます、
粉類用計量カップで液体を計量すると、こぼす可能性が高く、書かれた量よりも多くなったり、少なくなったりします。
2つの計量カップは、それぞれ異なる目的のために作られているので、その目的にしたがって使い分けると、料理が上手にできます。
少量(Dash) vs. ひとつまみ(Pinch) vs. ごく少量(Smidgen)
スパイスの量について、少量(Dash)、ひとつまみ(Pinch)、ごく少量(Smidgen)といった昔ながらの表現を目にすることが、よくあります。ネットで調べたところ、正確な量は、下記のとおり。
少量(Dash):小さじ1/8
ひとつまみ(Pinch):小さじ1/16
ごく少量 (Smidgen):小さじ1/32
よく目にする「好みに合わせて塩で味付けを」という表現は、1回に3つまみ分の塩を入れると良いです。
今まで紹介した表現の意味を知れば、日常的な料理のレシピを読むときに、困らないと思います。そして、基本をマスターしたら、自分なりのアレンジを加えて、料理の腕を磨いてくださいね!
Thorin Klosowski(原文/訳:曽我美穂)
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http://news.goo.ne.jp/article/lifehacker/life/living/lifehacker_36451.html