新潟市の沖合で12月上旬、ニホンウナギが水揚げされていたことが分かった。県水産海洋研究所(新潟市西区)によると、分布の少ない本県海域では1955年に佐渡島、粟島沖で捕れて以来、58年ぶり。専門家は「沖合で成魚が捕れるのは全国的にも珍しい」と驚いている。(米川丈士)
ウナギは12月5日、新潟市から北に約50キロ、佐渡島と粟島の中間地点付近の沖合で、漁船の底引き網にかかった。漁業関係者から連絡を受けた同研究所の職員が新潟西港に出向いて確認し、ニホンウナギと判明した。全長83・6センチ、体重716グラムの成魚。水深300メートル付近に生息していたとみられ、引き揚げられた際の水圧の変化で目に気泡ができていた。
ウナギの生態や回遊ルートは未解明の部分が多いが、日本列島の南方約2500キロのマリアナ海域で生まれ、黒潮に乗って北上。沿岸部から川などを遡上(そじょう)して成長すると、産卵のために再び海へ下る。
そのため、日本海側への回遊は少なく、特に能登半島より北では分布が少ないとされる。同研究所によると、本県の海域での捕獲例もほとんどない。
ウナギの生態に詳しい日大の塚本勝巳教授によると、国内でも河口部や沿岸部などで網にかかることはあるが、沖合での捕獲は珍しく、生態研究の上で「希少価値が高い」という。
同研究所からウナギを送られた塚本教授の調査により、性別は雌と判明。産卵海域に向かう状態になっていたといい、今後、川などの淡水での生息歴があるかどうかなどを詳しく調べる予定だ。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/niigata/news/20131230-OYT8T00752.htm