統合失調症の治療の中心は薬、特に抗精神病薬。従来型と新規があり、従来型の方が副作用が出やすい。症状改善・再発予防のために長く使い続けるのであった薬の選択が大切。
1.統合失調症の薬物療法
統合失調症の治療では、薬を使う薬物療法が中心になります。統合失調症は、治療に長期間を要する慢性疾患と捉え、症状が軽減しても薬物療法を継続していくことが大切です。再発の最も大きな要因は薬の中断だといわれていますので、再発予防の観点からも治療の継続が大切なことがわかっています。
薬は、病気の経過(病期)や症状に合わせ、その人に合ったものを組み合わせて用います。治療の中心となるのが抗精神病薬です。ほかに、症状によって抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬などが使われることもあります。
2.抗精神病薬の使い方
抗精神病薬は、脳の神経伝達物質の量を調整することで脳の働きを回復させ、幻覚や妄想などの症状を抑える作用を持つ薬です。現在、治療に最も有効と考えられており、大きく新規抗精神病薬と従来型抗精神病薬に大別できます。 新規抗精神病薬は、新しく開発された第2世代の薬で、ドパミンやセロトニンの量を調整する作用を持っています。幻覚や妄想などの陽性症状だけでなく、引きこもりなどの陰性症状にも効果が期待され、副作用も比較的少ない薬です。現在新たに治療を始める場合、ほとんどこちらが処方されます。
従来型抗精神病薬は、主にドパミンの量を調整する薬で、陽性症状には有効ですが、陰性症状にはあまり効果が期待できないといわれています。また、副作用を起こしやすいことでも知られています。これまで従来型で治療を続けてきて副作用がつらい場合には、医師が症状を観察しながら新規抗精神病薬に切り替えることもあります。しかし、薬を替えることによって一時的に症状が不安定になったりするケースもあるので、慎重に行う必要があります。
3.症状が治まってものみ続ける
統合失調症の場合は、症状が治まっても薬の服用を続けるのが一般的です。もちろん、症状がよくコントロールできている場合には、担当医と相談しながら徐々に薬の量を減らしていくことも可能です。しかし、急激に減量すると症状が悪化するおそれがあるので、くれぐれも自己判断で行うことは禁物です。
患者さんが薬をのみ忘れないよう家族や周囲の人がサポートしたり、専用ケースを使うなど工夫をすることも大切です。長期にわたって使いやすいように、薬の形態(剤形)にはさまざまなものがあります。口の中ですぐ溶ける錠剤で水がなくてものめる口腔内崩壊錠、液剤、薬の量を微妙に調整できる顆粒剤のほか、デポ剤(持効性注射薬)という、効き目が2~4週間続く注射薬もあります。これらの中から生活スタイルに合わせて剤形を選ぶとよいでしょう。
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/medical/kenkotoday-20131203-h-001.html