予防接種はここ数年で、0歳から受けられるワクチンが増えたり、タイプが変更になったりした。どのワクチンを、いつ接種すればいいか迷う保護者も少なくないが、専門家は「定期接種・任意接種ともに受けられる時期がきたら早めに受けるように」と呼び掛けている。
定期も任意も
日本小児科学会が生後2カ月からの接種を推奨しているのが、ヒブ(インフルエンザ菌b型)、肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルス-の4ワクチン。ヒブと肺炎球菌は公費負担で受けられる定期接種で、B型肝炎とロタウイルスは任意接種。任意接種は多くが全額自己負担ということもあり、「定期接種だけ受けていれば大丈夫」と考えている保護者も少なくない。
小児科医などでつくるNPO法人「VPD(ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろうの会」の薗部友良(そのべともよし)理事長は「定期・任意ともに予防接種がある全ての疾患は感染すると命を脅かすこともあり、重要度に差はない。受けられる時期がきたら体調を見て、早めに受けさせてほしい」と指摘する。
B型肝炎ウイルスは伝染力が強く、1歳以下で感染した乳児の60~95%が慢性化し、最終的に10~15人に1人がB型肝炎に関連した肝がんか肝硬変で死亡するとされる。以前は母子感染が多かったが、予防対策が成果を上げ、ほとんどなくなった。一方、症状は出ていないが罹患(りかん)している家族(父親や祖父母など)からや保育園での感染は今も報告されている。多くの人と接するようになると感染リスクが高くなるため、早めのワクチン予防が望ましい。
同時接種で確実に
ロタウイルスワクチンは平成23年11月から日本でも接種できるようになった。当初は2回接種の1価ワクチンだけだったが、昨年7月からは3回接種の5価ワクチンも登場。生後5~6カ月からかかりやすくなるロタウイルスでの下痢症の重症化を防ぐ。いずれも飲むタイプの生ワクチンで、遅くとも約3カ月半までに飲み始めることが大切だ。
世界的に見ればロタウイルスによる下痢症は乳児の死亡原因の上位を占める。日本でも毎年約5万人が入院しており、脳炎となる乳児が約40人、死亡も約10人おり、ワクチンで予防しておいた方がいい。
生後3カ月からは4種混合も加わる。多数のワクチンを1本ずつ受けると接種が遅れがちになり、確実にVPDを予防することができなくなる。早くしっかり免疫をつけるため、同時接種が勧められている。また、複数回接種のワクチンは、3回目、4回目になると自己判断で接種をやめてしまう保護者もいる。決められた回数を受けないと長期の免疫ができない可能性があり、必要回数を全て受けることが大切だ。
薗部理事長は「多くのワクチンをタイミングよく打つためには最初が肝心。初めてのワクチンを生後2カ月から接種するため、出産前から準備しておくといい。赤ちゃんの体調によっては受けられないこともあるので、かかりつけ医とよく相談してほしい」と話している。(平沢裕子)
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