体重増加に悩む人の間で、今、最も支持されているのが「糖質制限ダイエット」。人気の理由は、食べながら&飲みながら簡単に痩せられる点。提唱者の江部康二先生に話を聞いた。
●江部康二さん
京都大学医学部卒業。理事長を務める京都の高雄病院で、2001年より糖尿病患者への食事の指導と研究を開始。この理論をもとにしたダイエット法が話題に。
ダイエットしたいけど、複雑なカロリー計算や味気ない献立で我慢するのは嫌……という人は多いはず。しかし、「糖質制限ダイエット」なら、そんな悩みとは無縁。食事に含まれる栄養素のひとつ「糖質」を控えるだけで、個人差はありますが、1週間のうちに1~5kg落ちます(成人男性が糖質制限を「スーパー制限」で行なった場合の目安)。理由を説明しましょう。糖質は体内でブドウ糖に分解され、血液に取り込まれます。血液中のブドウ糖が増えすぎると、インスリンというホルモンが分泌されます。インスリンの働きで余分なブドウ糖は血管の外へ追い出され、細胞に取り込まれて、その一部は皮下脂肪として蓄積されます。「糖質制限ダイエット」は文字どおり、糖質を多く含む食べ物を控えることで、脂肪がつきにくい体質にするものです。
糖質オフの食事を始めるには、食べ物に含まれている栄養素を知ることが大切。糖質を多く含むのは、ごはんやパン、麺類などの主食、甘いお菓子など。1回の食事の目安となる糖質量は20~40gですが、ごはんは茶わん1杯で糖質が55gにもなるので要注意です。その代わり、肉や魚介類は糖質が低いので安心して食べられますし、これらに含まれるたんぱく質は満腹感が得やすいうえ、体内のエネルギー消費も上がるというメリットもあります。
なお、糖質制限ダイエットは誰でも簡単に取り入れられますが、腎臓、すい臓、肝臓に障害を抱えている方や糖尿病の治療薬を使っている方は、事前に必ず医師と相談してください。
◎糖質制限ダイエットがビジネスマンに向く4つの理由
(1)とにかく簡単
糖質オフで誰でも簡単に痩せられるのが糖質制限ダイエットのいいところ。肉、魚、葉野菜などは食べてもOKなのでダイエット中の空腹感もなく、元気に痩せられる。ポイントとなる糖質については、下の図にあるとおり。糖質は糖類を含み、炭水化物は糖質・糖類を含む。「糖質ゼロ」とうたった商品なら問題ないが、「糖類ゼロ」の場合、糖質が含まれている場合があることに注意したい。
■「糖類ゼロ」にはご用心!
<炭水化物>炭水化物には糖質の他、食物繊維も含まれる。炭水化物は血液内のブドウ糖の濃度(血糖値)を上げ、脂肪がつきやすくなる
<糖質>米や小麦に含まれるでんぷんなどの糖や糖アルコール(糖質甘味料)、合成甘味料、糖類を含む。「糖質ゼロ」とはこの部分がゼロのこと。
<糖類>単糖類(ブドウ糖や果糖など)と二糖類(砂糖など)を指す。「糖類ゼロ」とはこの部分がゼロなだけで、糖質がゼロとはならない。
(2)うまい酒が飲める
酒の糖質量は種類によってかなり違う。ビールや日本酒などの醸造酒には糖質が含まれる。特にビールはぐびぐび飲んでしまうため、血糖値の上昇→インスリンの追加分泌→肥満のもとになりやすい。一方、焼酎、ウイスキー、ブランデー、ウオツカ、ジンなどの蒸留酒は製造過程で糖質がなくなるので、安心して飲める。コップ1杯程度ならビールも影響はないし、蒸留酒なら全く問題なし。酒好きにはうれしい話だ。
■糖質量が多いものは注意!
ビールを飲むなら「糖質ゼロ」を選ぶのが◎。ワインは醸造酒だが、比較的糖質が少ないので、少量なら飲んでも大丈夫。※100 当たりの数値
(3)食事は居酒屋メニューが◎
主食やイモ類、根野菜、果物類を避けるのが鉄則。その代わりに糖質の少ないおかずを食べる。居酒屋のメニューはおかずがたくさん選べ、このダイエットに向く。ただし、調味料には注意。たれやポン酢、ドレッシングには砂糖が使われているので、これらをたっぷりつけて食べては意味がない。最適なのはマヨネーズ。中でも卵黄を使ったものなら糖質は100g中、1.7gと少ないので、頭に入れておきたい。
■糖質の多い食べ物を覚えよう
食事はごはんやパンなどは減らし、糖質の少ないおかずを中心に食べよう。
(4)つらくないから続けられる
1回の食事で摂取する糖質量にだけ注意する。すぐに痩せたい場合は3食とも糖質オフの「スーパー制限」が理想だが、いきなりはつらい。そこで、最初は夕食だけ糖質オフの「プチ制限」から始める。夜は体が休息に向かっているため、あまり血糖を必要としないのだ。慣れてきたら1日に2食の糖質オフ「スタンダード制限」に移ろう。これなら昼飯を普通に食べてもOK。無理せず自分に合った方法で体質を改善しよう。
■糖質制限を始めるなら次のパターンで
○は糖質オフではない食事極端な大食いでなければ食べる量を気にする必要はなく、アルコールも問題なし。夜は糖質オフで晩酌し、ごはんや麺類を抜くやり方が簡単でいい。
http://news.goo.ne.jp/article/dime/trend/dime-265361.html