今年が最後の大掃除にしよう-。室内環境を整える方法を広めることを目指す会員組織「部屋を考える会」(岩崎夏海代表)は「大掃除より、こまめな掃除の方がきれいな部屋を長く保てる」として、掃除しやすい部屋作りを提唱する。それにはまず、掃除機が通る道の整備。岩崎さんは自身の体験から「部屋を変えればストレスが減り、人生が好転する」と指摘している。(寺田理恵)
◆部屋自体に原因
「部屋が片付かない原因は住む人ではなく、部屋自体にある」。同会の著書『部屋を活かせば人生が変わる』(夜間飛行)の基本的な考え方だ。努力しなくても掃除ができる部屋を作る方法は、部屋の中に掃除機が通る道を整備し、掃除の動線を確保することだ。
そのための手順はまず、お気に入りの掃除機を購入し、「掃除機を出し入れしやすい収納場所」「掃除機用のコンセント」の2つを常に確保しておくこと。さらに、掃除機が通りやすいように家具を配置し、「掃除の道」を通す。
「メーンストリート」は掃除機用コンセントとベッドを結ぶ線。最も長い時間を過ごすベッドの周辺をきれいに保つことが快適に暮らすための鍵となる。ベッドの長辺を壁につけると部屋を広く使えるが、掃除機の通りにくいスペースも大きくなってしまう。長辺でベランダに通じる窓をふさぐと、ベランダの掃除がしにくくなるので置き方は重要だ。
テレビも大型を置きやすい位置に配置するより、小型を可動式テレビ台に置けば後ろが掃除しやすく、見やすい位置へ動かすこともできる。岩崎さんは「『掃除の道』は部屋の血管。ゴミやほこりを排出するために隅々まで張り巡らす必要がある」と話す。
こうした動線を建築家が設計時に確保しても、住む人が動線上に家具を置くと掃除がやりにくくなる。努力して掃除をしても長続きせず、汚い部屋に戻る可能性が高い。一方、掃除しやすい部屋なら短時間で掃除が済む。汚れる前にこまめに掃除することで、きれいな状態を長く保てる。洗濯や食器洗いの動線も確保して快適に生活すると、心にゆとりが生まれるという。
◆ヘヤカツ
岩崎さんは小説『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』の著者。「人生が好転する」という考え方は自身の引っ越し体験が基になった。
35歳までは空いていた3LDKの実家で1人暮らし。物を捨てずに散らかり放題で、「自分はだらしない人間だと諦めていた」。
ところが、引っ越し先の東京・渋谷では家賃相場が高くて狭い部屋しか借りられず、必要なものしか運び込めなかった。すると、部屋が片付き、掃除も5分で終わるようになった。その後、39歳で出した『もしドラ』はベストセラーに。
岩崎さんは「散らかった部屋でどれだけストレスを受けていたか分かった。片付くと毎日が気持ち良く、仕事もうまくいくようになった。二度と汚い部屋で暮らしたくない」と、人生が変わる「ヘヤカツ(部屋活)」を勧めている。
■「手間をかけたくない」 子育て女性は掃除1位
掃除に手間をかけたくない-。東京ガス都市生活研究所(平成23、24年)の調査によると、子育て中の女性が「今よりも手間を省きたいこと」のトップは、「共働きママ」「非共働きママ」のいずれも「掃除をする」で、それぞれ28.3%、29.3%だった。
掃除の時間や手間を省きたい理由は、共働きか非共働きかを問わず、「子供がすぐに汚すから」が最多。「キリがないから」が続いた。一方、掃除の頻度は、毎日掃除をしているのは非共働きが約4割に上るのに対し、共働きは約2割にとどまった。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/snk20131213505.html