首に激しい痛みがあっても必ずしも重い病気とは限らない。逆に、痛み・しびれの症状の程度が軽くても脊髄症状があれば手術が必要な場合も。首の痛みを改善する治療を紹介。
1.頚椎の病気の診断
首の部分の脊髄や神経根が何らかの原因で圧迫されると、痛みやしびれ、手足が動かしにくいなどの症状が現れてきます。このような症状が現れる頚椎[けいつい]の病気として、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症、後縦じん帯骨化症の3つが代表的です。診断は、問診や診察、MRI(磁気共鳴画像)などの画像検査の結果から、脊髄や神経根が圧迫されているかどうかを判断します。手術は、主に脊髄が圧迫されて起きる脊髄症状がある場合に検討されます。
脊髄自体は痛みを感じにくいという特徴があるため、治療の開始が遅れることがありますが、脊髄は圧迫に弱いため長い時間ほうっておくと後で手術をしても機能が回復しにくいことがあります。あまり病状が進行しないうちに専門医の診断を受け、手術のタイミングを含めて相談することが大切です。
2.保存療法
手足のしびれ、歩行障害などの脊髄症状がなく神経根症状だけなら、多くの場合、保存療法を6週間~3か月間続ければ症状が改善していきます。保存療法には、首に負担がかからない姿勢や軽い運動などを指導する生活指導、炎症を抑える薬などを使う薬物療法、首を固定する頚椎カラーを装着する装具療法、首を温めることで血行を改善する温熱療法、局所麻酔薬やステロイド薬を痛みの原因となっている神経などに注射する注射療法などがあり、治療はこれらを組み合わせて行います。保存療法で改善しない場合には、手術も検討されます。
3.手術
椎弓[ついきゅう]形成術は、脊髄の圧迫が広い範囲に及んでいる場合によく選択される手術です。首の背中側を切開し、椎弓の片側を切り離して脊柱管の空間を広げ、神経の圧迫を取り除きます。
前方除圧固定術は、脊髄や神経根への圧迫が1~2か所だけの場合に行われます。首ののど側から切開し、異常のある椎間板全体を切除したうえで、人工骨などを入れて固定し、脊髄の圧迫を直接取り除きます。
椎間孔拡大術は、神経根の圧迫が1か所だけの場合に行われます。椎弓の一部を削り取って広くする手術で、体への負担は少なくて済みます。最近では、これらの手術に内視鏡や顕微鏡を使い、傷を小さくして、体への負担を少なくする工夫も行われています。
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