国内に1500万人以上いるといわれる難聴者。65歳以上の半数にあたる。携帯型音楽プレーヤーが発売されて三十数年、夢中で聞いていた世代が中年になり、難聴予備軍が急増するという。
日本人の長寿化と合わせると、「近い将来、“大難聴時代”がやってくる」と警鐘を鳴らす国際医療福祉大病院耳鼻咽喉科部長(教授)の中川雅文さんに、対策などを聞く。
自分の耳年齢が気になるが、視力と違い、聴力を把握している人は少ない。しかし、今はインターネットなどで自己診断が出来る。この種の無料アプリもある。様々な周波数の音を聞いていく検査だが、高周波音が聞こえずショックを受ける人も少なくない。
中川さんも「かなり精度の高いものがあるので、患者さんに難聴のレベルを知ってもらうため、診察の時に使っています」。
難聴の程度は、音の大きさや強弱を表すデシベル(dB)で分類される。「正常」は25dB以下が聞こえる人で、表でまとめたように、難聴が重くなるほどdBが高くなる。ひそひそ話が聞きづらくなってきたり、テレビの音が大きいと指摘されたりすれば、難聴の始まりと自覚したほうがよい。
聞こえが悪くなると、脳への刺激が減ってしまう。「難聴が原因で対人関係に誤解やトラブルが生まれ、さらに、うつ病や認知症に発展し悪化させていくケースが増えている」と中川さんは指摘する。耳年齢が、今後の人生を大きく左右することにもなる。
(2013年12月8日 読売新聞)
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