面倒な皮むきも包丁知らずで、いつでも食べられるかたちで保存!
今回ご紹介するお野菜は「里芋」です。
里芋は500gパックで販売されているのが一般的。パック詰めされたお野菜は一つ二つ残ってしまったり、特に里芋はぬめりでうまく皮がむけなかったり、手が痒くなったりしたり、下処理も面倒だったりするので、働く一人暮らしの女性は買うのをちょっと悩んでしまうお野菜でもありますよね。
でも、里芋は今が一番美味しい時期なので、秋冬に是非食べて頂きたい野菜の一つです。
実は里芋はアンチエイジングフードでもあるのですよ。イモ類はカロリーが高いから・・・と避けている方も、里芋は他のイモ類に比べて低カロリーで食物繊維が豊富なので、ダイエット中にもオススメです。
今回は、下処理が面倒と思われている里芋の、レンジでできる簡単な下処理の方法をご紹介いたします。
1パック一気に処理し、冷凍保存も可能なので里芋を無駄なく頂くことができます。
いつも1パックは多いなと思って買うのを悩んでいる方、皮をむくのに手が滑って上手く包丁が使えない、または手が痒くなってしまうというお悩みの方に一度お試し頂きたい方法です。
さて、その下処理のご説明の前に里芋について少し学んでみましょう。
今私達が食べている野菜の多くは日本に自生していたものではなく、海外から入ってきたものです。その中でも里芋は歴史が古く、原産国である東南アジアから縄文時代に日本に渡り、なんと稲作より前に日本に定着した野菜なのです。
たんぱく質、ビタミンB群、ビタミンCなどの美容成分を含み、栄養価は抜群!
体内の過剰な塩分を排出してくれるカリウムは芋類の中で一番多いです。
栄養価は高くても水分と食物繊維が多いので、芋類の中でも低カロリーであるのも魅力的です。
そして、注目すべきは里芋特有の「ぬめり成分」。
ぬめり成分は多様な成分から構成されていますが、その中のひとつ「ムチン」と呼ばれる成分は、胃の粘膜を保護したり、肝臓や腎臓の働きを助けたりする効果があり、免疫力を高め、細胞を活性化して老化を防止したりする作用があります。また「ガラクタン」という成分には、脳細胞を活性化させるという情報もあるので、里芋パワーで仕事も効率良くはかどるかも知れませんね。
縄文時代から愛されている里芋は、実は女性に嬉しい栄養素がたっぷり詰まったアンチエイジングフードだったのです!
それでは、下処理の方法です。
<基本の準備法>
里芋のカンタン下ごしらえ法
1.里芋をよく洗って泥を落とします。
2.頭とおしりの部分を少し切り落として、水気のある状態で耐熱皿に並べます(写真左)。
3.軽くラップをかけて電子レンジで加熱します。
小さいものなら1パック分まとめて、600wで約5~6分。
大きいものなら1パック分まとめて、600wで約7~8分。
4.触ってみてやわらかくなっているのを確かめて(硬い場合は更に1~2分加熱)、少し冷まします。
5.手で持って熱くない状態になったら、少し指に力を入れて押すと、皮と身に隙間ができるので、そのままツルッと手でむけます(写真右)。
※調理しやすい形にカットしたものを保存袋に入れておけば冷凍もできるので長期保存が可能です。冷蔵保存は、2~3日が目安です。
※鮮度の悪いものは綺麗に皮がむけません。泥のついてないものは早くに傷むので、買って直ぐに下処理だけは済ませておいたほうが良いでしょう。
面白いほどツルッとむけますので、手も痒くならずに一気にできますよ。
大変な皮むきも包丁知らず、痒さ知らずでとっても簡単!しかも冷凍保存も出来るので、里芋を食べたい時に少しずつ食べることができます。
そして更に嬉しいことは、加熱してあるので、調理する時も時短で完成するのです!
それでは、この皮むきした「里芋」を使った簡単メニューもご紹介いたしましょう。
どれも時間をかけずに調理できますので、ぜひ試してみてくださいね。
<冷めても美味しい! おつまみにもお弁当のおかずにもピッタリ!>
応用編・おつまみ、お弁当に◆里芋のこんがりバター醤油焼き
下処理済みの里芋 3個(大きめのものは2.5個)
バター 5g
醤油 大さじ1
■作り方
1.里芋は4~6等分、一口大の大きさに切る。
2.深鍋にバターを入れ、溶けてきたら里芋を入れ、焼き色がつくように中火で炒める。
3.里芋に焼き色がついたら一度火を止めて、醤油を回し入れる。(飛ぶので注意!)
4.再び火をかけ、醤油を少し焦がすようにして、里芋全体に味が絡むように鍋を振る。
5.全体に馴染んだら、できあがり。(写真では仕上げに乾燥パセリを散らしてます)
※お醤油が飛ぶ恐れがあるので、深いお鍋で作られることをお勧めします。
煮物やお鍋での調理法のイメージが強い里芋ですが、炒め料理も美味しく頂けます。
両面を良く焼くことで、外はさっくり、中はねっとりした食感が楽しめます。
冷めても美味しいのでお弁当のおかずにもピッタリです。レシピの分量はおかずとして食べたあと、残りをお弁当に利用できる量にしてあります。
<寒い日にはあったかスープで!お味噌汁感覚のヘルシースープ>
応用編・夕食に◆里芋のあったか豆乳味噌スープ
下処理済みの里芋 3個(大きめのものは2.5個)
ベーコン 1枚
水 50cc
無調整豆乳 100cc
白味噌 大さじ1
■作り方
1.里芋は4~6等分、一口大の大きさに切り、ベーコンは1cm位の幅に切る。
2.水に1.を入れて、煮る。その間に、無調整豆乳に白味噌をよく溶いておく。
3.煮立ったら火を止めて、白味噌を溶いた無調整豆乳を加える。
4.再び火をかけてグラグラする手前で火を止めて、できあがり。(煮立たせないこと!)
里芋、豆乳、白味噌と白の食材を使った冬ならではのあったかメニュー。
加熱済みの里芋なので、すぐにできるスープです。
味噌によって甘味や辛味が異なりますので、量は調整してください。
豆乳と味噌を加えたら煮立たせないようにするのがポイントです。
温め直しを繰り返すと、味噌や豆乳の風味が飛んでしまうので、作った日と翌日に食べきれる量にしてあります。
里芋の量を半分にして、冷蔵庫にある残り物の野菜をたっぷり入れれば、具沢山で食べごたえもあるスープになりますので、お味噌汁を作る感覚で作ってみてください。
<里芋の煮物も10分で完成!こんぶ茶を出汁に使った時短煮物>
応用編・夕食に◆里芋と油揚げの即席煮物
下処理済みの里芋 3個(大きめのものは2.5個)
長ネギ 1/3本
油揚げ 1/2枚
水 150cc
こんぶ茶(顆粒) ティースプーン2杯(4g)
みりん 大さじ1
生姜汁 小さじ1/2~1
醤油 大さじ1
■作り方
1.里芋は食べやすい大きさに乱切り、長ネギは斜め薄切り、油揚げは縦半分に切ったものを1cm幅位にカットする。
2.お鍋に1.を入れて、水、醤油以外の調味料を全て加えて、落し蓋をして約5分煮る。
(落し蓋がない場合は、一度シワをつけて表面が凸凹の状態になったアルミホイルをお鍋の大きさに合わせて伸ばしたものを代用します。)
3.最後にお醤油を加えて5分、落し蓋をして煮ればできあがり。
時間と手間のかかる煮物も、加熱済みの里芋と、出汁代わりにこんぶ茶を使えば10分で完成します。
薄味に見えますが、落し蓋をしてきちんと煮れば、味もしっかり染みてます。
生姜汁を少々加えているのもポイントです。
2~3日で食べきるのが目安です。
(※撮影&スタイリング:日高直子)
* * *
最後に里芋を買うときのポイントです。
里芋はできれば泥付きのものを選びましょう。寒さと乾燥が苦手なので冷蔵庫には入れずに、新聞紙に包んで直射日光の当たらない場所に保存してください。
2週間くらいは保存可能です。ただ、泥を洗ってあるものはあまり日持ちがしないので、早めに下処理をしておいた方が良いでしょう。
湿り気があって、おしりの部分が張っているものを選びましょう。触ってフカフカしていたら傷んでいる証拠です。また頭の芽が色づいていない、中心が真ん中にあるという点も要チェックです。
これから年末年始にかけて飲んだり食べたりする機会が多くなる時期。胃や肝臓の働きを助けてくれる里芋で体をいたわってあげましょう。
また免疫力を高めてくれる効果もあるので、これからはやる風邪やインフルエンザ対策にもぜひ里芋を召し上がってみてくださいね!
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20131123/167221/?P=1&ST=life