食べ物には“食べ頃”というのがある。どうせ食べるなら、少しでも美味しい状態でいただきたいものだ。
食材によっては、すぐに食べずに少し寝かせておくと美味しくなるものがあると耳にする。たとえば肉の場合、「腐りかけが一番美味しい」とよく聞くけど、これには科学的な根拠があるのだろうか? 栄養学博士の白鳥早奈英先生に聞いてみよう。
「“腐りかけ”というのはあくまで表現手法のひとつであって、要は熟成の度合いを意味しています。肉というのはもともと生き物なわけですから、牛であっても豚であっても、死後数時間経つと死後硬直が起こります。この死後硬直が解けると、徐々にタンパク質が分解され始め、今度はアミノ酸が発生します。このアミノ酸がうまみの素になるんです」
つまり熟成が進むほど、アミノ酸がたっぷりと増えて豊潤な味わいを生むのだと白鳥先生は解説する。ただし、だからといって僕らがスーパーなどで買ってきた肉を、ギリギリまで熟成させようと頑張ることはお勧めできない、とも。
「肉が理想的に熟すのに必要な時間は、牛の場合で死後硬直が解けてから1~2週間、豚は3~5日、鳥は5~12時間とされています。加工されて店頭に並ぶ時点で、すでにこうした期間を経た状態にありますから、無理に熟成させようとして時間を置くと、かえって傷んでしまうこともあり得ます。冷凍保存するのでなければ、購入後はなるべく早めに召し上がった方がいいでしょう」
ちなみに魚の場合は肉とは比べ物にならないほど腐りやすいので、新鮮なうちに食べるべき。野菜もまた、基本的に採れたてがもっとも美味しいとされているので同様だと白鳥先生は語る。
美食を追求するのもいいが、こだわりすぎてお腹を壊しては元も子もない。くれぐれもご注意を。
(友清 哲)
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