筆者はお酒が飲めない体質ですが、先日飲み会で、「ノンアルコールカクテル」と「ノンアルコールビール」を3杯ほどちゃんぽん飲みしたところ、何やら頭がぼーっとして、友人からは「え、顔、赤いよ。酔ってる？」と言われました。
ええっ？ ノンアルコールなのに？
これは調べておかないと、と思い、臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長に、お話を伺いました。
■アルコール1％未満なら、ノンアルコールと表示される
――ノンアルコールビールで酔う、というようなことはあるのでしょうか。
正木先生 はい、あります。ノンアルコールドリンクとは、表示上、「アルコール1％未満のドリンク」を指します。よく、「アルコールを限りなく減らしたドリンク」と言われるのはその意味で、アルコールが微量含まれていることがあります。
――それは知りませんでした。1％未満でも、アルコールを含むのであればそうだと知っておきたいですね。
正木先生 日本の酒類の定義は、「アルコール分1度以上の飲料」であることです。したがって、ノンアルコール飲料とは、含有アルコール量が1%未満の飲料を指します。1％未満であればノンアルコールと表示することができるのです。
この情報を知らない人が多いように思います。
まぎらわしいという論議を呼び、最近では、日本製の「ノンアルコール」の缶飲料は0.00％と表示されていることが多いようです。ただし、外国製や、お店でオーダーするノンアルコールドリンクには、アルコールが微量含まれていることがあるので注意してください。
例えば、0.9％アルコールを含むノンアルコールドリンクを知らずに5杯飲んだとすると、アルコール4％のビール1杯分に含まれるアルコールの量を超えてしまうわけです。酔ってしまうこともあるでしょう。
アルコールを飲めない体質の人は、買う前に表示をチェックする、外食時にはお店の人に確認するなど、注意が必要です。
――お酒を飲めない人が、知らずに飲んでしまうのは困りますね……。飲み会の雰囲気に流されて、ついたくさん飲むこともあるでしょうし。
正木先生 これはノンアルコールだ、とメニューに明示されていると、そう思い込んで、ぐいぐい飲む場合もあるでしょう。それで酔いが回る可能性もあります。自分が酔っていることに気付かずにいるのもまた怖いことです。
ですから、妊婦さんやドライバーは、ノンアルコールドリンクといえども、0.00％と確認できない場合は口にしないようにしましょう。
――お酒に弱い体質の人は特に、ノンアルコールドリンクでも車の運転はだめなのですね。
正木先生 0.00％のドリンクなら大丈夫ですが、微量でも含まれている場合、お酒に弱い人がそれを飲むと、アルコールが体に与える影響が大きいため、予期しない症状に見舞われることも考えられます。運転はだめです。
また、一般に、男性より女性の方がお酒に弱いので、それも覚えておきましょう。
――女性の方が酔いやすいのはなぜですか。
正木先生 体重と筋肉量、体脂肪量の差から、そう考えられています。一般に、男性より女性の方が体重が軽いこと、また、体脂肪率が高いため、アルコールを取り込める量が少なくなります。体形が大きくて体脂肪が少ない人ほどお酒に強い、という傾向はあります。
アルコールを飲むと血液中のアルコール濃度が高まります。その濃度が濃いほど、顔が赤くなる、ふらふらする、吐く、頭が痛くなる、鼓動が激しくなるなど、体への影響が強くなります。
同じ体重の男女が同じ量のお酒を飲むと、女性の方が酔いやすく、そういった症状が起こりやすいのです。男性にも知っておいていただきたい情報ですね。
――今後は重々、気を付けます。ありがとうございました。
お酒が弱い人、ノンアルコールドリンクでも「飲み過ぎに注意」しましょう。
(藤井空／ユンブル)
取材協力・監修
正木初美氏。日本臨床内科医会専門医、大阪府内科医会理事、大阪府女医会理事、日本内科学会認定医、日本医師会認定スポーツ医、日本医師会認定産業医、正木クリニック院長。正木クリニック：大阪府大阪市生野区桃谷2-18-9
http://netallica.yahoo.co.jp/news/20131130-01253841-mynaviw
