目的
石油暖房機器の燃料として広く使われている灯油ですが、購入してから保管方法を誤ると太陽光や熱による変質、水や灯油以外の油やごみ等の混入などで不良灯油になることがあります。不良灯油を石油暖房機器などに使用すると動作不良を引き起こし、場合によっては機器の故障や消火不能に陥ることがあるため、石油暖房機器の取扱説明書等では不良灯油の使用を禁止しています。
PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、2008~2013年度の約5年間に灯油に関連すると思われる危害・危険事例が123件(注)寄せられており、中には「去年の灯油を使用したら火が消えなくなった」、「ストーブをつけた途端、煙が出てのどが痛くなった。」、などの事例が見られました。
こうした背景から、実際に不良灯油を作成し、それらを石油暖房機器に使用することで、どのような異常が生じるかテストを行い、消費者に情報提供することとしました。
- (注)2013年9月30日までの登録分。件数は本公表のために特別に事例を精査したものです。
主なテスト結果
- 直射日光の当たる屋外で保管した場合、灯油専用ではないポリ容器(白)に保管した灯油は約半月で変質が見られました。また、灯油専用ではないポリ容器(白)は紫外線透過率が高いことがわかりました。
- 変質灯油を石油ストーブに使用すると、給油タンク一杯分の量で、芯にタールが付着して火が着かなくなることや、緊急消火ボタンを押しても火が消えないことがありました。
- 変質灯油を石油ファンヒーターに使用すると、給油タンク一杯分の量で、点火できなくなり、刺激臭のする煙が出るようになりました。
- 水の入った不純灯油を石油ストーブに使用すると、油受け皿に水が残り内部がさびたり、芯が動かなくなったりしました。
- 水の入った不純灯油を石油ファンヒーターに使用すると、燃焼が不安定になりエラー表示が出て消火したり、内部がさびたりしました。
- 取扱説明書や本体などには、不良灯油の使用を禁止することや、使用してしまった場合の症状、解決策が表示されていました。また、不良灯油が原因の故障は保証期間内でも、有償修理となることが表示されていました。
消費者へのアドバイス
- 石油暖房機器に不良灯油を使用すると、少量であっても、緊急消火ができなくなることや、点火不良に伴う発煙など危害・危険につながる不具合が生じることから、絶対に使用しないで下さい。
- 石油暖房機器を使用していて点火・消火不良や、発煙などの異常が生じた場合、不良灯油が原因の可能性があります。取扱説明書に記載された不良灯油の確認方法に従って確認しましょう。
- シーズン後に石油暖房機器を片付ける場合は内部の灯油を抜いて保管しましょう。
- シーズン中は、灯油は灯油専用容器に入れ、日光や雨の当たらない屋根のある場所で保管しましょう。また、シーズン持ち越しなど長期保管はやめましょう。
- 灯油を廃棄する場合には、購入した石油販売店などに相談しましょう。
業界への要望
不良灯油により石油暖房機器が破損したなど相談が後を絶たないことから、不良灯油に関する情報提供や、灯油の廃棄方法など、今後も啓発活動の継続を要望します。
要望先
- 石油連盟
- 全国石油商業組合連合会
- 一般社団法人日本ガス石油機器工業会
情報提供先
- 消費者庁 消費者安全課
- 経済産業省 商務情報政策局 製品安全課
- 経済産業省 商務情報政策局 日用品室
- 経済産業省 資源エネルギー庁 資源・燃料部 政策課
- 経済産業省 資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油流通課
- 消費者委員会事務局 http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20131121_1.html