「うちの子どもは落ち着きがなくて困る」「引っ込み思案で人見知りを直したい……」、など、自分の子どもの短所に悩む保護者もいるだろう。しかし、「落ち着きがないのは好奇心旺盛で行動力があるともいえますし、引っ込み思案は、行動や人間関係にも慎重ともいえます。視点を変えると、その子の長所が見えてきますよ」と話すのは、コーチングのプロ・石川尚子氏。小学校教師の態度で子どもの意欲が増した例を教えてもらった。
***
5年生の男の子Aくんの話です。好奇心旺盛で、疑問に感じたことはすぐに聞かなくては落ち着かない性格で、授業中もよく手を挙げて先生に質問をしていました。4年生のときの担任の先生は、「途中で何度も質問されると、そこで授業が止まってしまって、なかなか先に進めることができません。ほかの子の迷惑になっています。ご家庭でも注意してもらえないでしょうか」と、保護者にも訴え、手を焼いていたそうです。Aくんは「迷惑になるから、質問しないように」などと言われ、次第にやる気をなくしてきました。
ところが、5年生になって担任の先生が変わった途端、Aくんはとてもイキイキしはじめました。授業中によく質問をするAくんの行動を「Aくんが面白い質問をしてくれるので、ほかの子も、『一緒に考えてみよう! 調べてみよう!』という機会になって、勉強に興味を持ち始めるんです。Aくんにはいつも感謝しています」と、ユニークな視点を持っていて素晴らしい、と受け止めてくれたのです。
ある学校の先生がおっしゃっていました。
「子どもの個性一つひとつは金平糖のかどのようなものです。かどばかり削って丸くすると、一見、標準的なよい子になるかもしれませんが、本人のエネルギーも下がり、スケールの小さな子どもになってしまいます」
個性を「困った点」としてではなく、「資源」として見てあげることで、お子さんも変わっていくのではないでしょうか。
http://news.goo.ne.jp/article/benesse/life/education/benesse-10586.html