糖尿病の治療では血糖の平均値ヘモグロビンA1cを下げる。目標値は7%未満が基本だが、年齢や病気の状態によって6%未満や8%未満を目指す場合がある。
1.糖尿病の原因とリスク
糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)の濃度が常に高い状態になる病気です。食事から吸収されたブドウ糖は、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンによって筋肉や肝臓に取り込まれます。しかし、インスリン分泌量の低下や、肥満によるインスリン抵抗性といった原因があると、ブドウ糖が筋肉や肝臓に取り込まれず、血液中のブドウ糖の量が非常に多くなってしまいます。
治療を受けずに糖尿病を放置していると、血液中のブドウ糖によって全身の血管が傷つけられて、さまざまな合併症が引き起こされます。全身の細い血管に起こる合併症には網膜症、腎症、神経障害などがあります。また、太い血管では動脈硬化が進行し脳梗塞、心筋梗塞、狭心症などが起こりやすくなります。
2.診断と治療
主に血液検査で空腹時血糖値や随時血糖値、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)などを調べて診断します。空腹時血糖値126mg/dL以上、随時血糖値200mg/dL以上、HbA1c6.5%以上(NGSP)の場合、それぞれ糖尿病型と判定され、2つ以上で糖尿病型と判定された場合などに糖尿病と診断されます。治療の基本は、食事や運動不足などの生活習慣の改善です。それでも血糖を十分にコントロールできない場合には、のみ薬やインスリン製剤を使った治療が行われます。
一方、空腹時血糖値が110~125mg/dLだった場合は、”糖尿病の予備群”である境界型と判定されます。境界型と判定された場合は、生活習慣の改善に取り組むとともに、定期的に糖尿病の検査を受けることが大切です。
3.治療で目指す目標値
治療で目指す目標値には、過去1~2か月の血糖値の平均を反映するHbA1cが用いられます。1つの目標値だけでは病状にそぐわない場合があることから、日本糖尿病学会は2013年に目標値を「6.0%未満(血糖の正常化を目指す)」「7.0%未満(主な合併症を防ぐ)」「8.0%未満(重症で治療強化が難しい場合)」の3つに整理しました(NGSP)。基本になるのは7.0%未満ですが、一人一人の年齢や、病状に応じて目標値を決めていきます。
また、HbA1cが同じでも血糖値の日内変動が大きい場合にも動脈硬化が進みやすいので注意が必要です。自己血糖測定器を使って食後のピークの値を測ってみましょう。
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20131104-h-001.html