相手から批判されると、つい感情的になったり、言い訳がましくなったりして、「防衛的」になりがちです。でも、その状態では、こちらの言いたいことが伝わりにくくなりますし、相手の言い分にも、きちんと耳を傾けられません。
そのうちお互いに、実際に攻撃されてはいなかった点についても、負けるものかと必死になって「シャドーボクシング」を始める場合もあります。もともと話し合っていた問題の解決などそっちのけになり、エネルギーを無駄使いして、人間関係にもヒビが入ってしまうのです。
批判を受けて防衛的になることは、誰にでも覚えがあるでしょう。上司や配偶者を相手にした時に、そうなりがちではありませんか? そして、いったん防衛的になると、その姿勢を守るために、さらに防衛的になっていきます。攻撃を受けたと感じているわけですから、そうなってしまうのですよね。
■「2球見逃して3球目」作戦
そんな時は、原文筆者が野球になぞらえて「2球見逃して3球目」と名づけた作戦を試してみませんか。批判的なことを言われてカチンとし、思わず防衛的になったら、次のように行動するのです。
1球目
真っ先に言いたいこと、したいことが思い浮かんだら、その言動を我慢して、代わりに深呼吸をしましょう。最初に思い立った言動というのは、あなたが批判や侮辱、攻撃と感じた事柄に対する自己防衛的な反応だからです。
2球目
次に言いたいこと、したいことが思い浮かんだら、その言動も我慢して、再び深呼吸しましょう。攻撃を受けたあと、2番目に思い立った言動というのは反撃を目的としており、事態をいっそう悪化させるだけだからです。
3球目
3番目に言いたいこと、したいことを思い浮かべたら、その言動を実行します。自分を守りたい、相手に反撃したい、という状態が過ぎ去ってしまえば、問題を解決できる可能性が高まります。
批判されたと感じても防衛的になってはいけない最大の理由は、相手にも同じ反応を引き起こしてしまうからです。代わりに、「問題を解決しよう」という姿勢を心がけると、自分の中に協調性が生まれ、相手とともに乗り越えようという気持ちが芽生えてきます。
■我慢できない時は「足し算」の発想で
どうしても感情を抑えられないとか、報復したいという気持ちを捨てられず、問題解決に向けた姿勢を持てそうにない時には、「足し算」を心がけてみませんか。つまり、相手の話に耳を傾け、そこから建設的に話を進めていくよう努力するのです。
足し算を行うひとつの方法として、「○○についてもっと話してください」と尋ねてはどうでしょうか。相手が最も力説していた事柄を思い出し、それについてもっと話してほしい、と促すのです。そうすればあなたは、考えたり、落ち着きを取り戻したりする時間が稼げます。相手も、話を聞いてもらえていると感じるでしょうし、悪意を持っているなら敵意が削がれるでしょう。ほかに、「その場合、次のステップは何でしょうか」とか、「それでは、最大限の成果を得るにはどうしたら良いでしょうか」と尋ねるのも一案です。
もうひとつ、「そうですね、でも」を、「そうですね、では」に置き換えてみましょう。おわかりかとは思いますが、「そうですね、でも」を聞いた相手は、あなたは実際にはこう言っている、と受け止めるはずです。「礼儀だと思って今まで黙って聞いてきたが、本当はそんな話に興味はない。今から本当に大事な話をするから、しっかり聞いておけ」(「そうですね、でも」が、こんなにたくさんの意味を持つなんて驚きですよね)。
これに対して、「そうですね、では」は、それまでの発言を正当だと認めたうえで、さらにつけ加えようとするひと言です。例えば、「そうですね、確かにそうだと思います。では、より的確に事を進めるには…」や「そうですね、お話は全て理解しました。では、確実に具体化していく方法を詳しく説明していただけますか?」のようにです。
日頃から、なぜか感情的に反論してしまいがちだったり、あるいは、「ちょっと待って。この件についてはお互いに同意しているはずなのに…」というセリフをたびたび言う破目になっている場合、それはもしかすると、「そうですね、では」と言うべきところで、「そうですね、でも」と言っているせいかもしれません。
■不当な言いがかりには”3秒黙る”で対抗
では、相手から明らかに不当な言いがかりをつけられたら、どうしたら良いのでしょうか。あなたにとっては真実と相反する内容を相手が口にした場合、「そうですね、では」や「○○についてもっと話してください」と切り返すことはできません。
その場合は、衝突する前に「ブレーキ」をかけてみましょう。相手が話し終えたら、頭の中で3秒数え終わるまで黙るのです。そうすることで、会話がエスカレートせずに済みます。オマケの効能として、相手を不安にさせられる場合もあります。そうなれば、こちらが有利な立場に立てるわけです。
ケンカを仕向けたのにあっさりかわされてしまったら、相手は拍子抜けするでしょう。その瞬間、相手の目を真正面から見据え、冷静かつ毅然とした口調でこう言うのです。「ここでお互いひと息入れませんか。私は今、すごく反論したい気分ですが、気持ちが落ち着くまでは、何を言っても、何をしても、話をもつれさせてしまうだけです。でも、それは絶対に避けたいと思っています」
それからひと呼吸おいて、こう続けます。「あなたが何か不満を抱いているのはよくわかりました。それを取り除くために、私には何ができますか。それが実行可能なことで、あなたにも、私にも、ほかの関係者全員にとっても公平かつ有益であれば、ぜひその通りにしましょう。けれども、公平でなく、誰の得にもならないなら、受け入れるのは難しいと思います」。
その先は口をつぐみ、相手の答えを待ちましょう。相手の提案がもし不公平で、誰も喜ばないことなら、こう告げます。「それが全員にとって公平で有益だとは、どうも飲み込めません。可能であれば、別の方法で説明してもらえませんか。もしくは、どうすれば公平で有益か、アイデアを出し合いましょう」
批判されたと感じても動じずに、公平性や物の道理やお互いの利益を最優先にするよう心がけましょう。そうすれば、「正しい」立場を貫きやすくなり、しかも相手を感情的に挑発しないで済みます。
Don’t Get Defensive: Communication Tips for the Vigilant | LearnVest
Mark Goulston(原文/訳:遠藤康子/ガリレオ)
Image via Benoit Daoust and Katarina F (Shutterstock).
http://news.goo.ne.jp/article/lifehacker/life/living/lifehacker_35888.html