鶏の鳥インフルエンザ感染を想定した防疫演習が11日、宮崎県日南市や県庁で行われ、県職員ら約140人が防疫マニュアルに基づき、初動態勢を確認した。
北海道では今月5日、鳥インフルエンザの簡易検査で陽性反応が出た野鳥が捕獲されている。県は「渡り鳥の季節になり海外からウイルスが持ち込まれることも考えられる。死んだ野鳥を見つけたら一報を」と注意を呼びかけている。
日南市の養鶏場から「鶏20羽が朝、死んでいた」とする通報を受けて、演習を開始。防疫態勢強化の一環で今年4月に新設した宮崎家畜保健衛生所日南駐在の職員を現地に派遣、日南総合庁舎駐車場で実際に鶏の唾液などを採取し、簡易検査キットを使って感染の有無を確認した。
県庁に防疫対策本部(本部長・河野知事)を開設。農政水産部の職員ら約60人が六つの対策班に分かれ、2011年11月改訂のマニュアルに従い、防護服の確保や人員の手配などを行った。
日南総合庁舎には現地本部を設置。簡易検査に続いて確定検査でも陽性だったことから、対策本部と連絡を取りながら、鶏や卵の移動制限区域や消毒ポイント、殺処分する鶏を埋める土地や埋設処理の手順を確認した。
県内では2011年1~3月、鳥インフルエンザの感染が広がり、宮崎市や新富町など2市6町で計101万2000羽が殺処分された。10年には牛や豚約30万頭が犠牲になった口蹄疫が発生したことから、県は11年から年2回、防疫演習を行っている。
今季は北海道帯広市の公園で捕獲された野鳥のカルガモから鳥インフルエンザA型の陽性反応が出ている。渡り鳥から感染する恐れもあるため、県は養鶏農家に対し、〈1〉野鳥の侵入を防ぐ防護ネットの補修〈2〉鶏舎入り口にある消毒槽の定期交換〈3〉養鶏場に出入りする車の消毒――などを求めている。
県家畜防疫対策課の西元俊文課長は「情報伝達などで手間取った点があった。被害を最小限に食い止められるよう危機意識を高めていきたい」と話していた。(木崎俊勝)
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