インフルエンザの流行、花粉の飛散、乾燥…。空気環境が悪化する冬は体調を崩しやすくなる。アレルギーに悩む人ならなおさら注意が必要だろう。最近は呼吸器系疾患を引き起こす微小粒子状物質「PM2・5」の飛来など新たな懸念も高まっており、空気清浄機を備えて、より安全に過ごしたいという家庭が増えている。(柳原一哉)
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毎冬流行するインフルエンザは合併症によって死亡する恐れがあり、予防を心がけたい。田村クリニック(東京都多摩市)の丹沢俊弘院長(内科専門医)は「手洗いでウイルスを落としたり、うがいなどが有効」と呼びかける。
それらを前提に、「空気中に浮遊するウイルスを捕捉できる空気清浄機があればベター」で、同クリニックの待合スペースでも清浄機が稼働中だ。
その空気清浄機の新製品が秋冬の商戦入りを前に出そろったばかりだ。週末の家電量販店は品定めにくる消費者らで混雑。ヨドバシカメラマルチメディアAkiba(東京)の売り場担当者は「『赤ちゃんが生まれる』『アレルギーがある』などとして買い求める人が目立つ。11~12月は主にウイルス対策や乾燥対策、2~3月は主に花粉症対策として需要があり、春先までピークが続く」と説明する。
売り場はダイキン、シャープなど国内メーカー製品がひしめき、ウイルス対策をはじめ乾燥を和らげる加湿、消臭など豊富な機能を訴求。フィルター交換10年間不要や、スマートフォン(高機能携帯電話)との連携など至れり尽くせりの機能が満載だ。
これに対し空気清浄力という基本性能で挑むのが海外勢。スウェーデンのメーカー「ブルーエア」は米国家電製品協会の指標で、事実上の世界基準とされる「CADR」(クリーンエア供給率)で世界1位。空気を速くきれいにする能力でトップに立つ“実力機”で、北米や中国市場などで浸透しているという。
同社の説明では、粒子イオン化技術と3枚からなる独自開発した高性能フィルターによって0・1マイクロメートル以上の微粒子を99・97%除去。ウイルスからたばこの煙、花粉、ほこり、ダニに及ぶ。
8畳相当の空間の空気の清浄にかかる時間はわずか約2・5分で、「国内メーカーの一般機に比べ速度は2・5倍」(広報)という強みを持つ。
フィルターの6カ月ごとの交換に伴う維持費がかさむが、「交換すれば初期の性能を取り戻すことができ、衛生面の問題とパワフルな清浄力を維持するにはむしろ必要」(同)と説明。海外での折り紙付きの性能を前面に出し、日本市場へ食い込みを狙う。
調査会社のGfKジャパン(東京)によると、空気清浄機の今年1~9月の販売実績は前年同期に比べ台数ベースで25%増、金額ベースで29%増。大気汚染問題が深刻な中国大陸から飛来するとされるPM2・5への懸念などもあり、空気環境への関心は例年になく高まっている。
家電コーディネーターの戸井田園子さんは「空気清浄機は、国内メーカーによる多機能機、海外勢による単機能機と選択肢がそろった。清浄力というメーンの基本性能をしっかり確かめながら自分にどのような機能が必要かを見極め、賢く選びたい」と話す。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/131107/trd13110709000007-n1.htm
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