国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)に世界文化遺産登録について勧告する「国際記念物遺跡会議(イコモス)」の専門委員ら2人が6日、佐渡金銀山や周辺の相川地区の町並みなどを視察した。県と佐渡市の招きで訪れた2人は、保存状態などを評価するとともに、今後の課題について県や市の担当者らに助言した。
視察したのは、専門委員のスイス人シンシア・ダニングさん(55)と、世界遺産委員会英国代表団のクリストファー・ヤングさん(66)。5日に佐渡島に入り、「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」の構成資産の視察を始めていた。
2人は、ゴールデン佐渡の沢辺一郎社長の案内で、国の重要文化財「大立竪坑(おおだてたてこう)」の内部などを見て回った。
ダニングさんは、中世から近代まで金山が続いてきたことに「素晴らしい。世界にあまり例がない」と驚いた表情を見せた。その上で、「遺構の質をきちんと確保していくべきだ。世界遺産にふさわしい要素をたくさん持っている」と県や市の遺跡調査や保存管理の状況などを評価した。
一方、ヤングさんは「金山が日本の経済発展に貢献し、東アジア各国との強い関係が20世紀まで続いた。重要な点は、この歴史を世界の人々にどのように見せていくかにある」と語った。課題となる町並み保存については「住民の支援、理解が必要」と助言した。
視察は7日まで。2人は8、9日に新潟市で開かれる佐渡金銀山世界文化遺産学術委員会に出席し、来年度の推薦書の完成に向けた助言を行う予定。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/niigata/news/20131106-OYT8T01281.htm