道徳教育の充実策を検討している文部科学省の有識者会議は6日、現在は正式教科でない小中学校の「道徳の時間」を「特別な教科」に格上げし、検定教科書の使用を求める素案を固めた。11日の会合で提示し、年内に最終的な提言をまとめる。教科とすることにより、形骸化が指摘されている道徳の授業が今後、大きく変わることになりそうだ。
文科省関係者によると、道徳の教科化にあたっては成績評価が困難とされてきたが、素案では、5段階などの数値による成績評価はせず、記述式で児童生徒の取り組み状況を評価することにした。
また、教材については他教科と同様、民間会社が作成する教科書を国の検定のうえ使用することにした。ただし教科書の編集から検定、採択を経て、現場で使われるまでに丸3年かかることから、教科書ができるまでは文科省がつくる「心のノート」が教材として使われる。
提言がまとまれば、文科省は中央教育審議会の議論を経て学習指導要領の改定に着手、早ければ平成27年度にも教科化する方針だ。
道徳は現在、小中学生に年間35時間の授業枠が設定されているが、多忙な現場から「時間相当分の指導案を作る時間がない」との声が上がるほか、大阪など一部地域で、同和教育を核とした人権教育だけしか行われないなど、形骸化が問題となっていた。
今年2月の教育再生実行会議の第1次提言でも「学校や教員によって充実度に差があり、所期の目的が十分に果たされていない」と指摘。道徳を「新たな枠組み」で教科化することを求めていた。
これに対し一部の教育現場からは、道徳は成績評価に適さないなどとして反発する声もあったが、有識者会議では教科化が妥当と判断、検定教科書を使用する方向で意見が固まった。
一方、文科省では「心のノート」を来春から全面改訂し、国内外の偉人伝など多くの「読み物」を掲載するなどして、教材の代用としても使えるようにする方針だ。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/131107/edc13110708000000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/life/news/131107/edc13110708000000-n2.htm