牛肉は、人の体内で作れない必須アミノ酸をバランスよく含んだ良質のたんぱく質源。筋肉や内臓、血管、皮膚といった細胞の主成分として、酵素やホルモンにも深く関わっています。
牛肉の中でも赤身の部分には鉄分が豊富。鉄は吸収率の悪い成分ですが、肉に含まれるたんぱく質といっしょにとると、飛躍的に吸収率が高まることがわかっています。
しかも、牛肉の鉄分は主にヘム鉄で、植物性食品に含まれる非ヘム鉄に比べて、吸収率が3~7倍。 貧血や冷え性の予防・改善にも高い効果が期待できます。
手頃な価格の牛塊(かたまり)肉が手に入ったら、ローストビーフはいかがでしょう。オーブンを使うのはちょっとめんどう、という時に、フライパンで手軽に作れるレシピをご紹介します。
[ 作り方 ]
(1)牛肉を焼きつける
牛肉は焼く2~3時間前に冷蔵庫から出して室温に戻し、全体に A をまぶします。フライパンに薄く油をひいて熱し、牛肉を入れて、返しながら全面に焼き色がつくまで強火で焼きつけます。
(2)蒸し焼きにする
(1)に白ワインを大さじ1をふりかけ、ふたをして弱火で蒸らします。これを3~4回くり返し(10分ほどかける)、火を止めて、ふたをしたまま20分ほどおいて余熱で火を通します。
(3)ブロッコリーをゆでる
ブロッコリーは小房に分け、茎は皮をむいて乱切りにします。フライパンに水を深さ2cmほど入れて煮立たせ、ブロッコリーをゆでて、湯を捨てます。フライパンに油少々を入れて再び火にかけ、ブロッコリーの水分を飛ばして、塩・コショウをふります。
(4)盛りつける
(2)のローストビーフを薄切りにして器に盛ります。(3)のブロッコリーと、ホースラディッシュを添えます。
ココがポイント
最初だけ強火、あとは弱火
塊肉を調理する際、肉を室温に戻しておくのは鉄則です。冷蔵庫から出したての肉では、外側が焼けても中心は生の冷たい状態になりがち。表面を強火で焼きつけ、うまみを閉じ込めたら、弱火でゆっくり蒸し焼きに。予熱も利用して火を通します。
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調理指導 ■ 江上佳奈美えがみ かなみ/料理研究家、江上料理学院副学院長。食育インストラクター、フランスチーズ鑑評騎士の会会員。東京生まれ。祖母・江上トミ、母・江上栄子から受け継いだ伝統をふまえながらも、より現代的な料理を発表。著書に『毎日食べたい基本のおかず』(日本文芸社)、『おうちで、かんたん元気が出る保存食』(祥伝社)ほか多数。
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