小児がんや気管支ぜんそくなど治療が長期にわたる「小児慢性特定疾患」の医療費助成について、厚生労働省は1日、対象として現行の514疾患に80~100疾患を追加する案を同省の専門委員会(五十嵐隆委員長)に示した。重症患者への全額助成の特例は廃止し、世帯の年収に応じた負担を求めることとし、負担上限を月額最大1万1500円(入院)から、2万2200円(入院、外来問わず)に引き上げる。一方、上限未満の場合の負担割合は3割から2割に引き下げる。
この助成は、児童福祉法に基づき、慢性疾患を抱える子供と家族を支える制度だが、「治療研究」という位置付けのため、毎年度、予算の削減対象になってきた。案は、安定的な支援を実現するため助成を義務付けるもので、来年の通常国会で同法改正案を提出し、2015年1月の施行を目指す。
新たに重症患者にも自己負担を求める一方、難病対策のように助成対象を重症患者らに限定しない。負担の上限は、難病対策の助成制度見直しで同省が示した案の半額。就学前の上限未満の負担割合は、従来の2割を据え置く。
案によると、月額の負担上限額は夫婦2人子1人世帯の場合▽生活保護受給=0円▽市町村民税が非課税で年収80万円以下=1500円▽同税非課税で年収200万円以下=3000円▽年収430万円以下=6000円▽年収630万円以下=1万2300円▽年収630万円超=2万2200円。
現行の助成対象者は昨年度約11万人。小児患者には病気の種類を問わない自治体独自の医療費助成もあり、制度見直し後も、一定年齢まで自己負担が生じない場合もある。ただし、自治体の助成が終われば、重症患者や治療内容によって負担増になるケースも出てくる。その一方で、対象疾患の拡大について評価する声も上がっている。
専門委の委員も務める「難病のこども支援全国ネットワーク」の小林信秋会長は「全額助成されていた重症患者や低所得の家庭が、自己負担が増えても生活を維持できるのか、議論が必要だ」と語った。【桐野耕一、大場あい】
◇医療費の月額負担上限額
(夫婦2人子供1人世帯)
生活保護受給 0円
年収80万円以下 1500円
(市町村民税非課税)
年収200万円以下(同)3000円
年収430万円以下 6000円
年収630万円以下 1万2300円
年収630万円超 2万2200円
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/medical/20131101k0000e040226000c.html