皆さん、コーヒー豆の保存はどうしています?
そもそも豆で買う? それともその場で挽いてもらう? 豆の良し悪しだけでなく、保存方法でも味に歴然と差が出るもの。そこで、冷凍庫や真空容器(ポンプで空気を吸い出す容器)に入れたり、空気にさらして放置(あな、恐ろしや……)などのパターンで、焙煎当日、3日後、10日後を比べてみた。用いたのは、「やなか珈琲店」のプレミアムブレンド。グァテマラの個性的な香りとボディが引き出され、モカのやわらかな余韻が広がるブレンドである。
■保存方法――焙煎当日、3日後、10日後で味はどう変わる?
■豆の場合
焙煎当日:○
購入した豆本来の持ち味である、ほのかな酸味があり、苦味は控えめ。でも全体的に“こなれていない”印象。淹れるとき、豆はとても膨らむ。冷めても嫌なえぐみなし。
「空気にさらして放置」3日後:×
酸っぱい!苦味はあまりない。
「空気にさらして放置」10日後:×
後口に酸味が残るが、3日目の酸味のほうが鮮烈。えぐみあり。
「袋のまま室内」3日後:○
酸味が気にならず、えぐみもない。冷めてもおいしい。
「袋のまま室内」10日後:×
酸味が出て味が落ちた。
「真空容器」3日後:◎
味に厚み、奥行きがあり、輪郭がはっきりしている。
「真空容器」10日後:○
まだまだおいしく飲める。挽きたての豆も膨らむ。
「密閉容器」3日後:◎
酸味が気にならず、嫌なえぐみもない。冷めてもおいしい。
「密閉容器」10日後:△
酸味が出てきた。味の劣化が始まっている印象。
「ファスナー付き密閉袋で冷凍」3日後:△
まろやかだが、味が薄っぺらになってしまった。
「ファスナー付き密閉袋で冷凍」10日後:×
全体的な風味は薄いのに、酸味だけが立っている。
■挽いた豆の場合
焙煎当日:○
まだ酸味と苦味がまとまっていないかも? 数日後どう変化するのか楽しみ!
「空気にさらして放置」3日後:×
劇的に酸っぱい! 苦味より酸味がダントツ。
「空気にさらして放置」10日後:×
えぐみのあるにおい。味の劣化が甚だしい。
「袋のまま室内」3日後:×
冷めるととても酸っぱい。バランスが悪い。
「袋のまま室内」10日後:×
最初は苦味、後から酸味。いろんな雑味が混じり合う。
「真空容器」3日後:×
酸味が強くなった。もしかして空気を抜くのに失敗した?
「真空容器」10日後:×
酸味と雑味で、カップを持つ手が止まった。
「密閉容器」3日後:△
なぜか真空容器で保存したものよりいい感じ。でも豆で保存していた状態にはかなわず。
「密閉容器」10日後:×
キョーレツな雑味とえぐみ。ある意味、ハッと目が覚める。
「ファスナー付き密閉袋で冷凍」3日後:△
素っ気ない印象。厚み、奥行きがない。
「ファスナー付き密閉袋で冷凍」10日後:×
風味が少ない。冷めるとすぐ酸味が出る。
1.挽いた豆はあっという間にまずくなる
2.真空容器で保存した“豆”がベスト
3.冷凍は香りがとんだ。ちゃんと空気を抜くこと!
注)この実験は、実験の素人であるdancyu編集部員がやってみた体験記であり、科学的な証拠となるものではありません。味の印象は個人の感想です。
結果を見ると、粉で保存するより豆が圧勝!「やなか珈琲店」のオーナー・権藤則彦さんに保存の仕方について尋ねてみた。「まず基本的な豆の劣化要因は、水分、酸素、光、温度。以上4つです。そこから判断すると、水分の条件で1番有利なのは、冷凍庫内。0℃以下で、空気中の水分はすべて氷になり乾燥した状態です。酸素の条件では真空容器。光と温度の点でも冷凍庫内は有利です」
あらら。とすると1番劣化が少ない本命はジップロック(ファスナー付き密閉袋)で冷凍となるはず。ところが実験の結果は真空容器が1番有効で、冷凍保存は風味がとんでしまい全然ダメだった。きっちり空気を抜けば違ったかもしれないが「冷凍庫に入れておけば安心」という単純なものでもなさそうだ。
実験を通して、豆のまま、特に空気に触れないようにしないと、如実に劣化することが確認できた。コーヒーはまさに生鮮品なのだ。
http://news.goo.ne.jp/article/president/life/president_10871.html
http://president.jp/articles/-/10871?page=3