『毎日の英単語 日常頻出語の90%をマスターする』(ジェームス・M・バーダマン著、渡邉淳訳、朝日新聞出版)は、ネイティブの日常会話に使われる単語の頻度を優先して厳選されたという2000語を収録した実用的な書籍。この2000語をマスターすれば、英語ネイティブの日常会話のほぼ90%を身につけたことになるそうです。
とだけ聞くと「そこまで言い切っちゃっていいのかな?」という気にもなってきますが、以後の説明を読んでみると、ならではのオリジナリティが備わっていることがわかります。「本書の効用」から、要点を引き出してみたいと思います。
「使える英単語」とは?
英語ができない理由の多くは、英単語を知らないからではなく、使えるようなかたちで単語を覚えていないから。そして、使えるようなトレーニングをしていないからだと著者は言います。
たとえば「book=本」と日本語訳だけを覚えるのではなく、「buy a scientific book=科学の本を買う」「book an express ticket=特急券を予約する」というように、その一単語だけではなく、前後を含めた、ネイティブがよく使うかたちでマスターする必要があるというのです。さらに「特急券を予約する」という日本語から「book an express ticket」という表現が出てくるようになって、はじめて「使える英単語」といえるわけです。(10ページより)
クラスタの活用
本書では、登場する751の英語表現を「クラスタ」(cluster:房、集団、群れ)と呼んでおり、各クラスタには覚えるべき頻出語が最低1語入っているそうです。覚えるべきものに「関連づけ」が多いほど記憶に残りやすいもの。語彙を覚える際も関連づけが大切で、「記憶のフック」は多ければ多いほどよい。1語だけ覚えるよりも、より意味を持ちうるクラスター単位の方が記憶に残るということです。
クラスタの良い点
バラバラの意味のないことを覚えるフラストレーションを軽減する 英語らしいセンスを磨くことができる 実際に頻出する場面で使われる言葉なので、とても覚えやすい 分割されず、全体として覚えることができる
復習は金
英語学習が成功するかどうかの鍵は、Review(復習)。「音読」と「暗唱」を中心とした復習トレーニングを繰り返すことによって、語学は身につくというわけです。アメリカ人である著者も、日本語を覚えるときに毎日2時間、音読と暗唱を続けたのだとか。Review(復習)を繰り返すことにより、速度が上がり、どんどん流暢になるといいます。
また、復習のポイントは「分配学習」。15分学習するにしても、15分まとめてやるのではなく、「(1)3分、(2)数時間後に3分、(3)1日後に3分、(4)2日後に3分、(5)1週間後に3分」と間隔を開けて学習した方が効果的。つまり通勤時の細切れ時間や、「寝る前の15分」など、無理なく習慣づけられる時間をつくることが上達のコツだそうです。
そして学習の時間としては、午前中か眠る直前がおすすめ。午前中は脳が活性化しているため効果抜群。学習後すぐに睡眠すると、脳は寝ている間に勝手に「すり込み学習」をしてくれるため、睡眠前も効果的なのだとか。
学習の際に注意すべきは、「全部一気にマスターしよう!」とオーバーラーニングすること。1週目は記憶によく残るものの、復習せずにいると「一夜漬け」と同じレベルまで落ちてしまうそうです。本当に「使える英語」を身につけたいなら、継続できる学習プランを立てることが大切だということ。
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本書のもうひとつのメリットは、掲載されているテキストを朗読したMP3ファイルをHPから無料ダウンロードできる点。目と耳によって、効果的に単語(とその使用法)をマスターできるので、とても効果的だと思います。
(印南敦史)
http://news.goo.ne.jp/article/lifehacker/bizskills/offices/lifehacker_35527.html