[ カテゴリー:生活, 食育 ]

薬膳料理/1 旬の食材、体調に合わせて

秋が深まるにつれ、空気が乾燥して風邪をひいたり、体の冷えがひどくなったりして体調を崩しやすくなる。そこで、食べ物の力を借りて体の調子を整える薬膳料理に注目した。秋冬を元気に乗り切るため、国際中(こくさいちゅう)医師(中国政府による中国伝統医学の認定資格)で上海中医薬大学付属日本校(大阪市北区)の薬膳講師、赤堀真澄さん(43)に、薬膳の上手な取り入れ方を聞いた。

薬膳の考え方では、食材にはそれぞれ特性や効能があり、体調に合わせて食材を選ぶことで体質改善や強化、病気予防などの役割を果たす。

まずは食材選びだ。薬膳料理は日本ではまだなじみが薄く、「漢方を使った中国料理」というイメージが強い。赤堀さんは「漢方を使ったり中華風の味付けにしたりしなくても薬膳料理は作れる。季節の旬の食材、食べる人の体の状態に合った食べ物を選ぶことが大切です」と話す。

旬の食材は、季節に対応して体に起こるトラブルを改善する働きを持っている。例えば、夏野菜は体の火照りを取り、水分補給をしてくれる。春が旬のタケノコは、冬の間に体にため込んだ老廃物を解毒する作用を持っている。乾燥する秋には潤いを補給する食材、寒い冬には体を温める食べ物を選べばいい。

薬膳の世界では、食材を「青、赤、黄、白、黒」の各色に分類する「五色」という考え方があり、それぞれの色ごとに違う働きがあるとされている=表。自分や家族の体調に気を配っていると、どんな食材を取り入れればいいのかが分かってくる。

赤堀さんが約7年間暮らした香港では、乾期になると梨が飛ぶように売れる。香港の人たちは、白い食材の梨が体に潤いを補給し乾燥から守ってくれることを知っているからだという。「香港では食の知恵が代々受け継がれ、皆が実践している。食べることで病気を予防することを意識してほしい」と赤堀さん。

薬膳は続けることが大事。自分に合った食材が見つかったら、刻んでみそ汁に入れたり、ご飯に炊き込んだりして、毎日続けられる方法を探してみよう。【倉田陶子】

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◆五色の食材と働き

◇青

食材:サバやイワシなど青背の魚、ホウレンソウや小松菜など緑の濃い野菜

働き:血をさらさらにする。肩こりや血の巡りが悪い人に向いている

◇赤

食材:トマト、パプリカ、スイカ、赤ピーマン、カツオやマグロなど赤身の魚、赤色の強いラム肉や牛肉。ナツメやクコの実も

働き:血を補い全身に送る。貧血やふらつきなどの症状がある人にお勧め

◇黄

食材:豆、クリ、トウモロコシ、カボチャ

働き:消化機能を整え、元気を補う。体がだるい、やる気が出ないなどの症状を改善

◇白

食材:ユリ根、大根、レンコン、白キクラゲ、カブ、豆乳、豆腐、梨

働き:潤いを補給する。空気の乾燥で空ぜきが出るときに。肌をみずみずしくする効果もある

◇黒

食材:黒豆、黒ゴマ、黒キクラゲ。ナマコやアワビ、カキ、エビなど海からとれるものも含まれる

働き:成長や発育を促し老化を防止する。虚弱体質の改善やアンチエイジングに効果的

http://mainichi.jp/feature/news/20131021ddm013100027000c2.html

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